最低人間

夏宵 澪  @凛

嘘ばっかり

陰口が怖い

笑われるのが怖い

だから嘘をつく

息をするように、嘘をつく


悪いって、わかってる

でももう止まらない

止めたら、私という形が崩れるから


「すごいね」なんて言わないで

中身なんて空っぽだよ

褒められるたび、死にたくなる


ごめんね

近づかないで

優しくしないで

その優しさが、一番痛い


嘘を吐いて、笑って

吐いて、笑って

それを繰り返すうちに

どこが本当の自分か、もうわからなくなった


大嫌い

消えたい

でも怖い

怖いくせに、生きてる

意味もなく、生きてる


明日が来る

それが地獄だ

世界は光っているのに

私だけ、影の中


顔も悪くて

頭も悪くて

心まで腐って

それでも、息をしてる


嘘が血の代わりになって

毒が心を流れて

私という肉体を動かしてる


「やめればいい」なんて言わないで

そんなこと百も承知だよ

嘘をやめたら、私が消える

もう、どこにもいられない


ねえ、誰か

助けてなんて言わない

どうせ誰も来ない

声も枯れた

涙も乾いた


大好きだった人を、また裏切った

笑ってごまかした

その一瞬で、心が少し死んだ


ああ、いつからだろう

人のことを羨むこともなくなった

悔しいとも思わなくなった

何も、感じなくなった


鏡を見ても、そこには誰もいない

空洞が、こちらを見返している

生きてるふりをした死体

それが私


最低人間

生まれてきたことが、間違いだった


何度も「変わりたい」と呟いた

でも、世界は何も変えない

だから、もういい


全部、どうでもいい

希望なんて、最初からなかった

生きる理由も、もう要らない



――おやすみなさい




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