サイドストーリー 南の都市・ラニへと向かう道
「っと、そろそろ日が暮れてきたなぁ…。」
「そうですね…今日はここら辺で夜を越しましょう。」
僕らは今、南の都市・ラニへと向かっている。しかし、魔法使いの村からはかなり遠くにあるため、何日か日を跨がないといけない。
「ふぅ…【シャイン】」
そう詠唱すると、一瞬で明るい光が辺りに灯る。
「ラウ様も、いい感じにシャインを扱いこなせるようになってきましたね。その調子です。」
まだ魔法を使い始めてから1週間も経っていないが、それなりに使い込んできたため、力加減もわかってきた。光の明るさや弾の大きさなどを調節できるまで成長した。
「さて、今日は……そういえば、近くでいい材料を見つけたんでした。」
そういいながら、オスカルは草や木の実などを取り出す。
僕らは毎日、どこか手ごろなキャンプ地を見つけ、そこで夜を越しているため、食事もそこで行う。基本的な食事用の道具や寝間着などは、オスカルの石造りの家から持ってきたため、生活は快適にできている。
「興味津々で採集してたけど…これ、何?初めて見る…。」
「これですか?」
黒めな赤色をした丸い果実を手に取り、そう聞いてくる。
「そうそう、なんかちょっと…言い方悪いけど…どす黒い…っていうか…?」
「まぁ、最初はそういう反応になりますよね…。私も、最初視たときはそう思いました。でもこれ、ヒャオっていって、甘くてとてもおいしいんですよ。」
オスカルはヒャオを半分に切ると、中から薄いピンク色をした実が出て来た。外の皮の色に反した綺麗な色だ。
「わぁ…綺麗…!」
「一口食べてみますか?甘いですよ、少し渋みもありますが。」
オスカルからその実を少し分けてもらった。おそるおそる口に入れてみると…。
「っ…!美味しい!」
口の中に一気に甘さが広がり、果汁も溢れてきた。
「喜んでいただけたようで何よりです。」
「ねぇねぇオスカル、他にはどんなのがあるの?気になってきちゃった…!」
「ふふふ、じゃあ今日はフルーツパーティーにしましょうか!」
—————
僕らはこのようにして、毎日を過ごしている。目的地に向かって歩く道のりは険しいものだが、同時に楽しいものでもある。きれいな景色、美味しい食べ物など、世界は美しいもので覆われている。
南の都市・ラニへと向かう道は、まだまだ続く。
「光を与える魔法」
サイドストーリー 南の都市・ラニへと向かう道
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第4話 南の村・セレヒー
光を与える魔法 かぴばらさん @Kapi_San0615
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