瀬戸内の『ミカン王国』を舞台に、国語教師・虹子の小さな日常が、はっさくの香りとともにふわりとほどけていく全4話の連作短篇。玄関をふさぐ『コンテナでおすそわけ』から始まり、「これはレモンのにおいですか」「いいえ、はっさくですよ」と『白いぼうし』につながる第1話が、土地の空気とやさしい笑いを一気に連れてくる。
第2話では、むき方に悪戦苦闘してスマホで学び、マーマレードに挑む決意へと転ぶ『なるほど』の午後が軽快。第3話は割烹着と『大鍋』で「魔女」になってコトコト煮詰める台所の音と湯気、冗談まじりの独り言が愛おしい。そして第4話、河川敷の菜の花の前で、元教え子・和馬に大きな瓶を手渡す一瞬、凍らせていた記憶が「凍てゆるむ」ように溶け、春の光が心に差す――この移ろいの描写が本作の核だ。
柑橘の香り、台所の手触り、さりげない会話。甘さも酸味も控えめに、余韻で満たす『おひさま』の物語。読み終えると、トーストと紅茶、そして誰かに小瓶を渡したくなる。
ニコちゃん先生シリーズの最新作です!
ニコちゃん先生は高校で国語教師を務めております。
ある日、先輩の社会科教師・浦真奈美先生から大量の八朔を譲り受けたのですが、レジ袋にパンパンの量で食べきれるか心配に。
浦先生がおススメしたのはマーマレードを作ること。
そのために休日、いろいろと準備をして、軽快にBGMを流して、BGMとは関係ない鼻歌を歌いながら、マーマレード作りに挑戦!
本作は、ニコちゃん先生の面白い鼻歌やとても可愛らしい独り言に癒される、のんびり優雅な休日を描写した物語となっております。
しかし、それだけではありません。
ニコちゃん先生の心の隅には、冷たく凍てついた部分があり……マーマレード作りのその後、そんな冷たい部分を温かくしてくれる展開が!
シリーズを通しても面白いですが、本作だけでも魅力抜群です!
是非ともご一読を!!!