責任、とってよ。
夕凪あゆ
第1話
初めは、ただの興味だった。
この人、面白そうだなって。
少しだけ話して、からかって、
退屈な毎日にスパイスを振るくらいのつもりだった。
なのに、あなたは、笑いながら私の言葉を軽く受け止めた。
その軽さが悔しかった。
本気じゃないのに、なぜか勝負に負けた気がして。
気づけば、あなたの一言ひとことを追いかけてた。
あなたは何もしていないのに、
私の中の何かを掴んで離さない。
そのくせ、無防備な笑顔で近づいてくる。
まるで「好きになれば?」って言ってるみたいに。
そんなの、ずるいじゃない。
こっちは軽い気持ちで始めたのに、
いつのまにか息が苦しくなるほど、
あなたのことを考えている。
夜、眠る前の静けさに、
あなたの声だけが浮かんでくる。
既読がつかないだけで、心臓がざわつく。
恋なんてバカらしいと思ってたはずなのに。
どうして?
あなたに魅力なんて感じないはずなのに。
完璧でもないし、格好良くもない。
でも。その曖昧さ、その距離感。
君の全部が私を掻き乱してくる。
ねぇ、知らないでしょ?
私、本当はこういうの、苦手なの。
誰かに惹かれるのが怖いし、
本気になる自分なんて見たくなかった。
でももう、嘘がつけない。
あなたのいない時間が、
前より色褪せて見える。
思い出すたびに心がざらつくのに、
それでも、またあなたの言葉を待ってしまう。
——ねぇ。
なんでまだ他の人と笑ってるの?
こんなにも私を狂わせておいて、
知らん顔なんて、ずるいよ。
私が最初に笑ったのが間違いだったのか、
あなたが気づかないふりをしたのが罪なのか。
もう、そんなことどうでもいい。
ただ、あなたの目の奥に、
私だけが映っていればいい。
だから、お願い。
責任、とってよ。
——もう、戻れないところまで来ちゃったんだから。
責任、とってよ。 夕凪あゆ @Ayu1030
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