第35話
葵が元気になるまで、六等星はおやすみである。
六花が言うには、静と優樹も、自分で思うより、疲れているはずだとのことなので、二人もゆっくりしている。
「ゆうちゃん、散歩行く?」
「そうだな。何もしないと身体が動かなくなりそうだし」
二人はなんとなく、いつも使っているリュック、カバンを持つ。
近くの神社で、お参りをしてから散歩をする。
「ゆうちゃん、あれ、見える?」
静は、空を見て尋ねた。
「ん?あぁ、龍がいるな…」
青い鱗が、日の光に当たって、宝石みたいだ。
「最近、見えるんだよ」
「嫌じゃない?」
「別に嫌じゃない。お前と同じだ」
そう言って、静にキスをする。
静は、赤くなってうつむいてしまった。手をつないで、たまに出るコ゚ーストをついでに消して、歩く。
「静は、まだなれない?」
「…だって、こういうの知らなかったし」
優樹と付き合うから、ちょっと調べて、びっくりした。
実際にしてみると、どうにも恥ずかしい。
肌を重ねると、今でも、どうしようと、思ってしまう。
「可愛いな…」
もう、慣れなくてもいい。
遠くで、ズドンという音と共に揺れる。
「あれ、かなめ君かな」
「そうかもな」
かなめは、あれから一度もあってないけど、元気そうだ。
「ゆうちゃん、あっちにアジサイが咲いてる」
「…これ、アジサイか?」
花の形は、アジサイかもしれないが、花は二足歩行しない。
「…お出かけですか?」
普通に話し掛ける静に、優樹は驚いた。
今日は、天気がいいから、引っ越しするの。
アジサイ?はそう話してくれた。
「そうなんですね。ご迷惑でなければ、花を一輪わけてもらえませんか?」
アジサイは、身体を揺すって、花を一輪わけてくれた。
「ありがとうございます。気をつけてくださいね」
アジサイはペコリと頭?を下げて、歩いて行った。
「…今のは?」
「たまに、歩いてるよ」
「そうなんだ…」
「綺麗だね」
確かに、花は綺麗だ。
静は花をガラスのカゴに入れて、リュックにしまった。
「それ、どうするんだ?」
「まだ、決めてないけど…」
静は、集めた物を、綺麗にまとめるのが好きだ。
小さい頃から、収集癖があって、棚に集めた物を、綺麗に飾っていた。
今もそれは変わってない。
「綺麗だし、飾れば?」
「そうだね」
静が笑って、手をつないできた。
額にキスすると、抱きついてくる。
川沿いを歩いて、なんとなく川に続く階段に座って、持って来たお弁当を食べていると、赤い着物の少女が、音もなく、あらわれた。
「こんにちは。おにぎり食べますか?」
静が尋ねる。
「いただくわ」
少女は、おにぎりをおいしそうに食べている。
「お茶もいるか?」
まだ、開けてないペットボトルのお茶を渡す。
「あら、ありがとう」
にっこり笑う。
それから、三人でお弁当を食べていると、少女が言った。
「あなた達、私達の世界に来ない?きっと、楽しいわ」
それは、とても良さそうな気がした。
「静が行くなら行く」
「…ぼくは、まだ行かない」
「どうして?」
「まだ、食べたい物があるし、本の続きが気になるし、妹の結婚相手見てないから」
「…それは、気になるわね」
少女も頷く。
確かに、凪が結婚とかピンと来ないけど、いつかするだろう。
「私、あかねっていうの。あんた達は?」
「静」
「優樹」
「私の名前は、他の人間には、教えないでね」
二人が頷くと、あかねは満足そうに笑って、
「本当に、いつか、こっちに来なさいね」
こういうと、帰っていった。
「誘われちゃったね」
「だな。いつか、行くのか?」
「それも、いいと思うけど。ぼく、まだこっちに来たばっかりでしょ?
さざれ石の渡りも見てないし、ほうずきも探しに行きたいから、まだ先だよ」
静は、優樹にキスをして、笑顔で言った。
「優樹は、ずっと一緒に、いてくれるでしょ?」
「もちろん。何年でも」
終わり。
裏側の世界は、ここで終わりです。
応援もフォローも星をいただけたこともとても嬉しく、どこにお礼の言葉を書いたらいいのか、本当にお礼の言葉を書いてもいいのか悩みました。
フォローと応援、ありがとうございます。
久しぶりに、あたたかい気持ちに、なりました。
そして、最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
裏側の世界 @hamanasu361
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