魂無き生きた骸

源朝浪(みなもとのともなみ)

自分って何?

 お前には中身がない。


 つい先ほど、とある方に言われた。


 確かに。言われてみればまったくその通りで。


 僕は他者の真似をすることでしか生きられない。




 事の始まりは、そう。弟が生まれたことだ。


 という存在がこの世に産声を上げたことで、僕はであることを余儀なくされたのである。


 僕の意見は、両親に一切通らなくなり。弟の主張が、全てに優先される日々。


 何か不満があっても「お兄ちゃんだから我慢しなさい」だし。何か良かれと思ってやったことでも、弟が気に入らなければ「お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい」だし。


 そんな生活が長く続けば、自分で考えることに意義を見出せなくなるのは時間の問題で。


 つまるところ、僕は。


 考えることをやめた。


 これが小学校低学年の頃のことである。




 学生の頃はそれでよかった。やるべきことがはっきりしていたから。


 ぶっちゃけて言ってしまえば、そのは簡単。


 優等生の振りをすればいい。


 問題を起こさず。適度に成績が良くて。愛想があって。周囲に溶け込んでいるように見えて。


 これって自我があると、意外とできないことなんだなと。最近になって思うようになった。


 つまり気付いてしまった訳。


 ああ、僕は。


 どこまで行っても。


 どうしようもないなんだって。




 精神発達的にグレーゾーン。


 自己と言うものが確立できておらず。


 自分が無いから誰かの真似をすることしかできずに。


 結果、モブの一人にしかなれない僕がいるだけ。


 これが今年で四十迎えた男の姿だよ。


 まったくもって笑えない。




 今にして思えば、だけど。


 物語を紡いでいれば、自分の本当の願い事が出て来るんじゃないかと思ったのが、僕の創作の原点で。


 どの作品に触発されたとか。どの作家さんみたいになりたいとか。


 そう言うのは全部後付けなんだ。




 僕が僕自身を理解できない。


 だって今更自分で考えることなんてできないから。


 子どもの頃に踏んでおくべき精神発達段階を、僕は親に奪われてしまった。


 精神発達に関する知識があればわかるのだけど。これはあとから身に付けられるものではなく、そのタイミングでしか身につけることができない能力で。


 その段階を過ぎてしまった以上。もう手に入ることはない。


 つまり僕は、生まれながらに発達に障害があるのに、親のせいで更にポンコツにされてしまった。


 親が悪いって話をしたところで意味はなく。


 僕はポンコツのまま生きていくしかない訳で。


 そりゃ生きづらくて当然だよねって、僕だけがそう思ってる。




 僕が真っ当な社会人になれる訳がなかった。


 そこからすでに間違い。


 僕は何者でもない、何も考えられない人間として。


 ただ誰かの真似をして、粛々と小説をしたためるのみ。




 僕はどう生きればいい?


 誰か教えて?


 僕はそれを教えてくれた、あなたの真似をするから。

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