不明で不敬な証明
「なんのお話をしていたの?」
後の物に、過去のものにしたはずの背後から、ふと問いかけられる。
振り向いていいものか、わからない。
首も体も、動かせない。
なぜこんな急に接近してきたのか?
なぜ彼女の気配を少したりとも推し量れなかったのか?
「ひどいね、あの子。人の友達を妖怪みたいに言うなんて。私は妖怪なんかじゃないのに。」
「…その言葉は、信じていいものかな?」
「逆もしかりで、まさか友達が嘘をつくと思ってるの?」
妖怪ではない。
その一言に、少しの安堵を覚える。
そんな言葉は、何の気休めにも、お清めにもならないというのに。
「…じゃあなんだ?君は…幻覚なの?僕の妄想の賜物なの?」
「…間違ってはいないよ。私を構成する部分の大体が、君でできてるしね。」
先ほどまでの弱弱しい、しどろもどろした彼女は消え失せ、すこし圧を感じる喋り方をするりりけ。
僕の弱さに気付いたのか、僕の心の中で、彼女に抱いてしまったからなのだろうか。
恐怖を、抱いてしまったからなのだろうか。
エガテンの言うような、印象を持ってしまったからなのだろうか?
それか、これが彼女の本性なのか?
「…君、何がしたいの?」
「…お友達、欲しいんだ。」
そう吐き捨てるように言う彼女の言葉は、儚くも、どこか人間味を感じる。
人間味を。
「お友達と、いろんなことをしたいの。楽しい毎日のためにね。」
「…君、ホントに僕の幻覚なの?僕とはかけ離れた思想を持ってるけども…。」
「…お名前で呼んでよ。君とか、幻覚とか言わないで。お友達なんだから。」
静かに懇願する、お願いする彼女。
お友達。
最初にも言っていた、そのフレーズ。
なにか違和感のような何かを感じる。
言いなれているような、そんな感じの。
「…りりけ。」
未だに言いなれない名前を呼ぶ。
彼女の正体も、彼女の詳細もわからない。
詳細。
正体。
勝敗。
書体。
書斎。
初。
気が付くと、彼女はいなくなっていた。
いついなくなったのかも、いついられなくなったのかも存じ上げない。
彼女の匂いも、消えていた。
彼女がオカルトじみた何かなのだとするのなら、僕によって生まれた何かなのだとするなら、正直言って調べられる気がしない。
わからないことの方が多い。
ここで、一つ、僕についての
僕は、中学生より前の記憶を失っている。
問題2
白洲春香 健康第一の過去を解明し、りりけの正体を解明せよ。
仮留 じゃじゃうまさん @JAJaUMaSAn
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