(実践編)異世界ものの主人公、なぜ搾取する側に移ろうしないのか

前置きの方が長くなってしまった。


なんかこう、世間…というかカクヨムには

『民をいたぶる悪役貴族どもを俺TUEEE!!でぶっ潰して周りには俺を慕う臣民たちと女達がいてウェーイwww』みたいな小説が多くありますよね。もうこういったものもブームが過ぎてるかもしれませんが。

まあそういった小説、ジャンルは現代ファンタジーものでも異世界ファンタジーものでも共通して言えるのは、

『ざまぁ』の存在である。


誰もが心の中にあるであろう、(あのクソ上司をぶん殴りてぇ…)だとか、(あの先公、マジでウザい!退学にしてやりたい!)だとか嫌な目上の人をボコボコにしてやりたい気持ち。


あるいはやってないのに自分に言われた文句、急に言われてしなければならなくなったこと。

または他人に責任を押し付けられ、自分が起こられたこと。

そういう理不尽さに対する怒り。


そういった怒りを晴らせるのが、『ざまぁ』なり復讐ものだったりするのだろう。

あと悪い奴らをボコすから勧善懲悪的なスカッと感もあるかもね。


復讐もので有名なものは、「仮名手本忠臣蔵」であると思う。

これは多くの人が知っているであろう日本でトップクラスに有名な歌舞伎の演目である。

話の内容を大雑把にまとめると理不尽なことにキレて沙汰を起こし(殿中でござる!で有名なあれ)、切腹した主人の仇を家臣が討つ事件の話である。


やはりこれも弱いものが強いものへと立ち向かう勧善懲悪ものの復讐劇だ。

武士道の高潔さも感じられ、主人のために皆で立ち上がるその志に江戸時代の民衆も魅かれたのだろう。


…いっそのこと忠臣蔵を漫画化やアニメ化すりゃいいのではないか?


そして勧善懲悪もので有名なのは「桃太郎」だろう。

みんな大好き!たぶん日本人のほぼ100%が知っている勧善懲悪ものだが、奪われた村の人たちの宝物を取り戻すところに復讐、仇討ち系の感じが含まれていると思う。


とまあ、桃太郎、忠臣蔵から異世界までいろんなところで復讐と勧善懲悪は愛されている。


このような根強い人気により、長いものに巻かれろスタイルのものはかなりマイナーになったのだろう。


しかし、本題である『異世界でブラック企業作ってやったぜwww』みたいな搾取しようみたいな動きにならないのはいささか疑問が残る。


これは私見なのだが、勧善懲悪の影響もあるだろうが日本の道徳教育が成功したというのも大きいのではないか。


私は童話だったり某アンパンのヒーロー絵本で子供のうちに勧善懲悪の“悪いことはよくないよねー”、という価値観を覚え、そして道徳教育などで“自分がされて嫌だったことは他の人にやっちゃだめだよね”ということを学んだのだと考えた。


現代の物語は暴力を暴力で返すものも多いが…それには目をつぶろう。

まあこれはヒーローもののパンチとかが影響していそう。

なんだかんだ文科省はよくやったと思うよ。(お前何様だよ)


このような教育で育ち、ブラック労働で疲れた大人諸君は「絶対俺は搾取なんかしない!」と思っているのだろう。だから異世界でも弱きを助け強きをくじく的なものが多くなるのだろう。

しかし時にはいつの間にか崇高な思いが空回りしてブラック化していくってこともあるんだぜ…知らんけど。


あと働いたことがないから知らないんだけど、ブラック企業ってそんな簡単にやめられないものなの?

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エッセイって何書けばいいのっていうエッセイ とりま とりね @toriaezu_tori

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