現代戦

みちお

其の一「対立」

 20XX年-


今の日本は、中部地方と近畿地方を境に北と南に分裂している。


今、北と南は独立した国家として存在している。いつ戦いが起こってもおかしくない状況にあるのだ。


人々は北を「北星国ほくせいこく」、南を「日輪国にちりんこく」と呼ぶ。




 1月1日-


正月だってのに国民は戦々恐々としている。


研究員の上杉颯太うえすぎそうたは、新年を親戚で集まり祝った時のことを思い出していた。


上杉颯太は、新潟県に住んでいる。つまり北星国側だ。


大学で知り合い、共に研究に打ち込んでいた織田裕二おだゆうじとは離れてしまった。


裕二は愛知県に住んでいるため、日輪国側なのだ。



「つまんない」


颯太が呟いた。

少し前の颯太は、裕二との研究で生き生きしていた。


今の国民は、政府の厳しい規制のもとで暮らしている。


そのため、裕二とは音信不通になってしまった。




俺たちが何を研究していたかって?


そんなの男のロマン、「タイムスリップ」だ!!


読者のみんな、気づいたか?


実は俺(上杉颯太)は上杉謙信の子孫なのだ。

しかも、織田裕二は織田信長の子孫である。


すごい奇跡なのだ。


お陰で俺と裕二はすぐに意気投合して、仲良くなった。


偉人の子孫である俺たちは、その時代に興味を持ち行ってみたいと思うようになった。


だから、俺たちはタイムスリップの研究をしていたのだ。


だが、俺たちの努力も虚しくその研究は打ち切りになってしまった。




暇だった颯太は、研究を記録したノートを読み漁っていた。


時間が過ぎていく。


気づいた時にはもう日付が変わっていた。


なぜ政府はこんなことするのだろう。


そう考える内にだんだんと苛ついてきた。


「俺が政府になった方がマシなのではないのか?」


そう考えるようになった。


この当てようがない苛つきを発散させるの為に、颯太はランニングに出かけた。


ランニングから帰ってみると、家のポストに手紙が入っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


上杉颯太様         1月2日




      秘密研究への協力




1月2日 只今北星国は、ある目的の為にタイムスリップの研究に参加してくれる研究員を募集しております。この手紙はこちらで判断し、選別された研究員にしか送られません。

周りへの拡散はお辞めください。






TEL:090-○○○○-△△△△


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


颯太は驚いた。


それと同時に、颯太の中で消えていた意欲に火がついたような気がした。 

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現代戦 みちお @Ace_00121

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