決意と責務

風花 こたつ

決意と責務

その日は綺麗な満月だった。

青年は祠の前で空を見上げ言う。

「月がきれいですね。」

青年はそう和服の少女に言う。


「それはそういう風に受け取っていい?」

少女は微笑んで聞く。


青年は、少女の頬を触る。

「……迷惑ですかね。」

「……いや、死んでもいいわ。」

少女が微笑んで言う。


「いいんですか?それはあなたを苦しめることに……。」

「いいのよ。私も言い出せなかったけどそう思っていたから。」


「ありがとうございます。」

青年は笑う。

「今までありがとうございました。僕がいなくなったあと、村のことを頼みました。」

「いなくならないわ。……一緒よ。」

「……そうですね。」

彼女は青年に対して何かをしようとして躊躇していた。

「僕が自分で立候補したんです。だから、気にしないでください」

そう言って彼女を抱きしめた。


体がどんどん光になって溶けて消えていく。

そして目の前の少女に光が吸われていく。


「守り神としての責務はちゃんと果たすわ。」

「……はい。」


そして青年は完全に消えた。


少女は胸に手を当てて


「こんな役目をさせてごめん。必ず村を救うから。」


そう祠の前でつぶやいた。

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決意と責務 風花 こたつ @kotatuyuki

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