楽しく読ませていただきました。
緊張感のあるストーリー・リアリティのあるキャラクター・文体から響く表現が、素晴らしく好みの作品でした。
この物語は重厚なファンタジーで、復讐を
テーマに物語が進んでいきます。
主人公は元姫のシャノア、相棒として少年の
サノスを連れて旅に出ます。
シャノアは復讐に燃えている女性です。
彼女の目標は、シャノアの祖国を売った男を仕留めるために旅に出ます。
どのような展開になるか楽しみです。
地の文の情景描写が丁寧で、世界観含めた
物語イメージが詳細に浮かびます。
そして、戦闘の緊迫感も伝わります。
空気感、肌触り、呼吸。どれも私の脳内に響きました。
とても濃厚な情景描写です。
キャラクターの心情もリアリティがあり、
ちゃんと血が通っています。
登場人物に感情移入できて、スラスラと読めました。
重厚で素敵な物語を執筆していただきありがとうございます。
シャノアは復讐に囚われています。
ある意味、禁断の酒を呑むような危険な行動。
シャノアにとって復讐は
美酒になるうるのか、それとも空虚の酒か。それは本人のみぞ知る。
彼女たちを襲う運命とは――。
続きを楽しみに待っています。
情景描写の力とテーマ性の明確さが際立つ物語でした。霧に煙る石橋、月光に照らされた剣、夜明けの宿屋に響く金属音、一つひとつの場面が鮮やかな映像として脳裏に焼き付き、物語世界へと強く引き込まれました。特に剣戟描写の躍動感と静謐さが同居する空気は、文章でありながら映画的で、読むほどに深く没入していきました。
さらに、作品全体を貫く復讐と運命のテーマが非常に明確で、その強い軸がキャラクターの行動や出会いに必然性を与えていました。シャノアが背負う宿命の重さ、それに巻き込まれてなお成長しようとするサノスの姿が、物語に力強い感情の流れを生み出しています。
細部まで丁寧に描かれた世界の中で、確固たるテーマが揺るがずに息づいている、読み終えたあとも長く余韻が残る、印象深い作品でした。
端正にして美麗。
本格にして重厚。
この作品は、書籍化に耐えうる、異世界ファンタジー作品である。
……と書いて終えることもできるけど、それではこの作品の魅力を語りつくせない。
この作品は、まるで映画のようであり、ゲームのようでもある。
文字が質感をともなって現れ、読者はたちまちのうちに、その世界の中に没入するだろう。
霧の立ち込める村の酒場、猥雑な都市と裏通りの礼拝堂、夜の宮殿、森の中の診療所、それに――亡国の離宮跡。
文字だけでも、ファンタジー好きならワクワクする道具立てではないか。
それらひとつ一つの舞台装置が、巧みな描写により強い印象で立ち上がってくる。
そして、その強い舞台に負けることのない、亡国の復讐姫シャノアをはじめとした登場人物たち。
この作品は、登場人物がとにかく動く。
走り、飛び、転がり、戦う。躍動感にあふれる動きと、それを追うカメラワーク。
彼女たちひとり一人が、それぞれに抱えた過去と運命に向き合い、生を全うしようとしている。
彼女たちは、物語の中で自分の役割を全力で演じている。
本レビュー投稿時点では、まだ14話。わずか3万文字強。
それだけの文字数で、この作品はひとつの世界を描きあげている。
奇貨居くべし。
追いかけるのなら、早いほうがいい。
いずれ彼女が高みに至り、再び王冠を戴いてからでは、もう遅いかもしれない。