第2話 自作のケーキ
4月10日
「なぁ!結衣見て見て!これうまそうだろ!」
病室で結衣に雑誌を見せる。その雑誌には桜を模したケーキが載っていた
「えぇ!!おいしそう。。」
結衣は満面の笑みでよだれを垂らしていた
「だろだろ!食いたい?」
「うん!食べたい!」
その言葉に大翔は「わかった!何とかする!」と自分の胸をたたき病室を走って出ていった。
「こら!走るな!!!」
結衣の声は届いておらず少しあきれた様子
大翔は雑誌に載っていた店に向かうと、とんでもない行列ができていた。
「まじか。」
少し困惑しながらも結衣のためだと列に並んだ。
3時間ほど経っただろうか少し日は傾きようやく店内に入ることができケーキを探す。
「こっちにもない、すいませーん!」
ショーケースの中には目当ての桜ケーキは見当たらず仕方なく店員を呼び桜ケーキの在庫を確認する。
「桜ケーキってどこにありますか。」
店員はすぐ駆け寄ってきた
「大変申し訳ございません。本日桜ケーキは完売となりまして」
店員の一言に大翔は困惑した。
「明日また来るので、取り置きとかしてもらえますか」
大翔の必死な訴えに店員は言う
「そちらの雑誌にも記載させていただいています通り4月1日から本日までの期間限定となっておりまして。もう販売は終了なんです。」
申し訳なさそうにする店員と肩を落とす大翔。
「わかりました。ありがとうございます。」
大翔は重い足を動かし病院に戻った
「結衣ごめんな。買えなかった、」
どんよりとした声で結衣に謝る。
「気にしないで大翔!大丈夫だよ!」
そう言った結衣の顔を見た大翔は笑顔の中に寂しさを感じた。
「必ず手に入れるから!安心しろ明日桜ケーキ絶対食わせてやるからな!」
そう言い大翔は病室を後にした。
4月11日
お昼を過ぎても大翔は来なかった。少し院内が騒がしかった
看護師の会話が聞こえてきた
「学生がトラックに跳ねられたんですって。居眠り運転だったみたい、かなり重体みたい。」
結衣は不安になった、「まさか大翔。」
そんな時間が4時間ほど続き神様に願った。どうか大翔を助けてください。
そこに大翔がやってきた。
「事故にあったんじゃないの。。。。」
涙ぐんでいた結衣に大翔は言った
「事故?なんだそれ。」
アホ面の大翔に結衣はすこし殺意が沸いた
「私の心配を返して!!」
そう言った結衣に大翔は小さな箱を渡した
「悪い、これ作ってたら遅くなっちゃった。」
箱の中には少し不格好な桜色のケーキが入っていた
「まさか。私のために。。。。」
結衣は驚いた。うれしかった。手作りで確かに不格好だったけどそんな事どうでもいいと思えるほどやさしさが籠ったケーキ。
「ありがとう。」
涙を浮かべケーキを頬張った。
「おいしい。」
「よかった!!!」
その時の嬉しそうな大翔の顔を私は忘れない。
「懐かしいな、ケーキ作ったの。大変だったな本とにらめっこしてたな。」
大翔はまたページを進める。
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