君に宛てた。私が記す最後の日記
しらたま
1年目の日記
第1話 日記
4月。心地良い風が肌を撫で温かい香りが穏やかな気持ちを沸き立たせる。
俺は金城大翔20歳。大学3年生になる
この季節はあまり好きじゃない、どうしても暗い気持ちになってしまう。
それでも、前を向かなきゃいけない約束したから。
幼馴染の沢田結衣と強く生きて、幸せな姿を見せると約束したから。
大翔は今大学近くのマンションで一人暮らしをしていた
部屋の窓を開け換気を行いベランダに布団を干していた
突然インターホンがなり、大翔は玄関に向かう。
「お届け物です。金城様宛に沢田百合さんから」
配達員から小さめの箱を渡された。元払いの様で支払いはなかった。
沢田百合。結衣の母親だ、3年前の葬式以来会っていない
恐らく母さんから住所を聞いたのだろうが突然の届け物に戸惑った。
「ありがとうございます。」
大翔は荷物を受け取り部屋に戻る。
渡された箱をカッターで開封し中身を確認する。
【大翔との思い出日記】
と記されていた。
そこに小さな手紙が添えられていた。
百合さんからだった
「大翔くん、お久しぶりです。結衣の母です、お元気ですか心の整理がついた後遺品の整理をしていたら日記が出てきてあなたとの思い出と記載されていたので勝手ながらあなた宛てに送らせてもらいました。結衣と過ごしてくれた3年間の思い出が書かれていると思うから、よかったら目を通してあげてほしい。沢田百合より」
小さな手紙を読んだ後大翔は日記に手を伸ばしページを一つ捲る。
はっきりとした文字で書かれていた思い出を俺はゆっくり読み進めることにした
4月5日
私が入院を始めて2日が経ちました、まだ不安で押しつぶされそうなとき大翔がお見舞いに来てくれました。
いつも通りテンションが高く私はつい「病室だから静かにしなさい!」と
大きな声で言ってしまいました。そしたら大翔はお前の方が声がでかいと大笑い
そんな大翔を見ていたら不安なんてどっかに消えていきました。
私は感謝しても足りないくらい救われました。
いつかきっとお別れが来てしまうのかと思うと胸が張り裂けそうです。
でも残された大翔やぱぱとままはもっとつらいと思うのでこうして日記をつけることにします。
みんなとの思い出を忘れないよう、覚えていてもらえる様にここに書いていこうと思います。
大翔は泣き虫だから、この日記見たら泣いちゃうかな。でも私を忘れないでいてくれたら嬉しいです。
大翔はページをめくり片隅に書かれた落書きに気づいた。大翔、結衣と名前が書かれた相合傘の落書き。
視界が震える、体も震える。
そして再び日記を読み進める。
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