3-3-3連絡の旅

きりづみ

3-3-3連絡の旅

 東北新幹線の最速列車は、上野9時ちょうど発の3B「スーパーやまびこ」3号である。16両編成にダブルデッカー車両を2両も組み込み、ビュッフェまで営業する、JR時代の高速鉄道の精華。2時間19分、昔からは考えられない速さでもう盛岡。20分の乗り換え時間。この時間を利用して、キハ187系3000代の急行「リアス」を撮影。上野・宮古4時間18分、というのは新幹線ができる前と比べて半減しているからすごい。釜石までは釜石線と合わせて2時間間隔で急行が出ており、便利なことだ。来たる3月改正ではこの乗り換え時間が8分になり、慌ただしくなるが、上野発が30分も繰り下がるならしょうがない。

 さて、新型E753系の特別急行1003M「スーパーはつかり」3号に乗り継ぐ。国鉄時代以来の130km/hは安定感がある。もう少し攻めた走りをしてもいいとは思うが、上越線のような大幹線でさえ高速バスに客を奪われているありさまでは、東日本会社の懐も大変だろう。おしぼりサービスや、大容量コンセントの提供、フットレストなど、細かくサービス・アップが徹底されているのは、客としては嬉しいが。

 青森からはビートル「ぎんりん」3便にタッチ。専用の乗船口は、まだ新しさがある。しっかりとした銅鑼の音が鳴ると、出航だ。途中でライバル、東日本フェリーのジェットフォイル「ゆにこん」とすれ違ったハズだが、見えなかった。連絡船特急券3500円に見合う流石の瞬足で、わずか100分で着岸。

 ここからが今日のお目当て、新鋭の特別急行3D「スーパー天北」に乗りに来た。北海道会社が10月改正で鳴り物入りで投入した、最先端車輌。日が傾いてきた4時台の函館駅で、駅前ハセストの焼き鳥弁当を買う。7両編成の新型気動車、285系。 16:25、いつ聞いても素晴らしい発車メロディを聞き、函館を発車。次の停車駅は東室蘭。140km/hで駆け抜ける。車内を見回すと、インバウンドが目立つ。JRP利用とはいえ、飛行機ではなく鉄道を選んでくれるのはいいことだろう。藤城線に入ると、最新式のハイブリッド車体傾斜システムが作動しているのが車窓からわかる。なにせ、真横を見るとそこは空だ。高い高架橋と相まって、飛行機のような快走感。気がつけば右手には噴火湾が見える。お弁当を食べ終わるころには長いトンネルだ。長輪線に突入したのだ。よく目を凝らしてみると、薄暮の小幌駅がわかった。東室蘭を発車すると、直線が続く。この区間は特認で踏切がある路線としては日本最速タイの160km/hが認められているが、外が暗いから車体からなる激しい音でしか感じられない。苫小牧、南千歳にさえ止まらないノンストップ運転で、文庫本を読み終わるころには札幌着。高架駅も、これだけ時間が経つとなじんだものだ。2時間50分、表定速度は112.5km/h。多くの客が降りていった。ホームを見ると、スーツケースを持った客が増えたことが実感される。

 座席を回すと、すぐに発車。スイッチバック駅であるが、運転士交代も兼ねることにより、わずかに4分での折り返しを実現している。ここから旭川までの函館線は全面的に160km/h対応がなされている上に線形もよく、高鳴るエンジン音を楽しめるが、寝たい人は大変だろう。電車特急にも負けない瞬足で、73分、この区間の表定速度は112.4km/h。電車特急からわずかに6分遅いのみと、優秀である。少し前までの最速特急(今でも最速といってよいようなものだが、旭川以北への延長で順位が下がっている。現在の最速は同じ道内、同じ285系の「スーパーおおぞら」の複数列車)は伊達ではない。車内販売で、夕ご飯に日食弁当を買った。旭川で2分停車すると、車内は一気に空く。宗谷線・天北線沿線や稚内、樺太への足として、停車駅も多くなるが、それでも軌道強化のかいあって音威子府まではかなりスピードが乗って走る。これまで5時間半走ってきた。音威子府では最終の幌延行普通と接続。天北線へといよいよ入る。筆者は天北線には乗ったことがない。ローカル線だが、それでも振り子を使って曲線に悲鳴をあげさせながら走る。列車が急に停止した。鹿と衝突したそうだ。幸い、鹿は走り去ったそうで、10分の遅れで運転再開。山間部を走るから、何も見えない。ここまで外が暗いと窓は鏡と同じになる。浜頓別を発車すると、かなりスピードが出ているように感じる。GPS速度計で測ると108km/h(こんなに出していいんだっけ?)。降りる鬼志別まで、あっという間に到着した(なんと定刻⁉︎)。23:22。走り去っていく列車を撮影したあと、ワイド周遊券と特急オプション券を見せて改札を出る。旅館には遅くなることを連絡してあった。ここ鬼志別は猿払村の中心。あしたは美味しい海鮮を食べよう。








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◎JR北海道では、令和元年10月1日(火)にダイヤ改正を実施いたします。

◎このたび、ダイヤ改正の詳細がまとまりましたので、お知らせします。

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都市間輸送

◆道内の特急列車に新型車両を投入します


・新型車両285系は、環境性能・快適性・高速性能を飛躍的に向上した車両であり、複合車体傾斜システムやMA(モータ・アシスト)ハイブリッド駆動システムにより、これまで以上の快適な乗り心地を提供します。


◎特急「スーパーおおぞら」に新型車両285系を順次投入し、到達時間を短縮します

・特急「スーパーおおぞら」に新型車両285系を順次投入し、ビジネスユースをはじめとする幅広いお客さまに快適な移動空間を提供します。

・ダイヤ改正時点で、「スーパーおおぞら」の約2割が新型車両で運転します。

・新型車両投入に伴いダイヤを見直し、特急「スーパーおおぞら」の一部列車において札幌~釧路間の到達時間を最大29分短縮します。


◎特急「北斗」に新型車両285系を順次投入し、到達時間を短縮します

・特急「北斗」に新型車両285系を順次投入し、「スーパー北斗」として運行します。ビジネスユースをはじめとする幅広いお客さまに快適な移動空間を提供します。

・ダイヤ改正時点で、「北斗」の約4割が新型車両で運転する「スーパー北斗」となります。

・最高速度を140km/hから160km/hへ向上(東室蘭~南千歳間)すること等により、特急「スーパー北斗」となる一部列車において函館~札幌間の到達時間を最大24分短縮します。

・引き続き「北斗」として運行していた列車も、時刻が一部、変更になります。

・令和2年3月のダイヤ改正を期して、函館駅を発着する列車について青函連絡船および本州各線区の列車との乗りかえ時分の改善に向け検討してまいります。


◎特急「スーパー宗谷」「スーパー天北」に新型車両285系を投入し、到達時間を短縮します

・特急「宗谷」と急行「天北」に新型車両285系を投入し、「スーパー宗谷」「スーパー天北」として運行します。幅広いお客さまに快適な移動空間を提供します。

・新型車両投入に伴いダイヤを見直し、特急「スーパー宗谷」の一部列車において旭川~稚内間の到達時間を最大25分短縮します。


◎道南方面と道北方面を結ぶ系統について、一部列車の運行形態を見直します

・「宗谷2号」は、現在稚内~札幌間(宗谷線経由)の運行ですが、函館まで運行区間を延長し、「スーパー宗谷2号」として運行します。また、稚内~札幌間の運行時刻を現行から29分〜53分繰り下げます。青函連絡船のビートル4便と連絡し、その日のうちに上野まで乗り継げます。

・「天北」の下り列車(札幌~稚内間(天北線経由))と、「北斗15号」(函館~旭川間(室蘭線経由))を統合し、「スーパー天北」として運行します。また、所要時間の短縮に伴い大幅に時刻を変更します。青函連絡船のビートル3便から連絡し、上野からその日のうちに天北線の主要駅まで到達できるようになります。

・「北斗17号」は、現在函館〜札幌間(室蘭線経由)の運行ですが、旭川まで運行区間を延長し、「スーパー北斗15号」として運行します。

・「北斗」を0.5往復増発し、「スーパー北斗25号」として運行します。青函連絡船のビートル5便から連絡し、上野をより遅い時間に出発してもその日のうちに札幌まで到達できるようになります。

・そのほか、従来「サロベツ」「礼文」「利尻」「なよろ」として運行していた列車も、時刻が変更になります。


(以下略)

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