第19話

地面が揺れた。

ゴブリンジャイアントの咆哮が開けた野原を引き裂き、木々を震わせ、鳥の群れをオレンジ色の夕暮れへと散らした。

デイビッドは凍りついた。

彼を満たそうとしていた勇気の全てが一瞬で消え去った。

息が詰まった。膝が震えた。決意を持ってスティッキーを握っていた手が――激しく震えた。

感じられた。圧力が。悪意が。

まるで死そのものの前に立っているかのように。

「な――なんだよ……あれ……?」彼は囁いた。

ダリルの目が細まり、顎が引き締まった。彼の体も震えていたが、それを見せまいとしていた。

「あれは……」彼は呟いた。「……普通のゴブリンじゃない」

その生物の影が全員を覆った――巨大で、猫背で、肌は深い緑色で戦いの傷跡だらけ。ギザギザの牙が日光の中で濡れて輝いていた。

一歩踏み出すたびに地面が揺れ、土埃と血が空中に舞い上がった。

ミステイは膝をついた。尻尾が垂れ下がり、耳が絶望で震えていた。

「もうおしまいだ……」彼女は泣いた。「みんな死ぬんだ……」

デイビッドは下を向き、顎から汗が滴り落ちた。喉が焼けるように熱かった。脚がゼリーのようだった。

心が『逃げろ』と叫んでいたが、体は動けなかった。

息もできなかった。

心臓が痛いほど激しく鼓動していた。

一方、ダリルは単にため息をつき、サーベルを肩に乗せた。

「……まあ」彼は静かに言い、乾いた笑みを浮かべた。「二人と知り合えてよかったよ」

ゴブリンジャイアントが巨大な足を上げ、影が彼らを完全に呑み込んだ――

――そして下のゴブリンたちが歓声を上げ始め、その声が邪悪で勝利に満ちた合唱となった。

ドォォォォン。

踏みつけは着地しなかった。

眩しい閃光。

突然の突風。

そして――

ドカァン!

巨大なゴブリンが後方に吹き飛ばされ、納屋の残骸を突き破って地響きのような爆発とともに墜落した。

木の破片が榴散弾のように宙を舞った。

歓声が止んだ。

全てのゴブリンが凍りついた。

デイビッドは一度まばたきをした。二度。

「な……なんだ今の?」彼はかすれ声で言った。

土埃がクレーターの周りを渦巻いた。空気が熱で揺らめいた。

そして――煙の中から――あり得ないものが姿を現した。

巨大な鶏。

怪物的ではない。恐ろしくもない。

ただ……鶏。

白い羽が日光の中で磨かれた銀のように輝いていた。

金色の目が自信に燃えていた。

その翼は広く、爪は鋭く、オーラはほとんど神聖だった。

デイビッドの口が開いたままだった。「……冗談だろ」

ミステイは息を呑み、突然また目に涙が溢れた――だが今回は恐怖の涙ではなかった。

「クラッキー!!!」彼女は声を張り裂けんばかりに叫んだ。「戻ってきてくれたのね!」

デイビッドとダリルは同時に彼女の方を向いた。

「クラッキー?」二人は声を揃えた。

ミステイは狂ったように頷き、喜びで泣いた。

「そうよ! 私のガーディアンチキンよ! 危険が来た時、私の農場を守ってくれるの! 逃げちゃったと思ってた!」

ダリルは何度もまばたきをし、表情は無表情だった。

「すまん……君のガーディアン……何?」

誰も答える前に、巨大なゴブリンが再び咆哮し、瓦礫から身を起こした。その金色の目が鳥に固定された。

ドォォォォン。

両方の獣が向き合うと、地面が震えた。

ゴブリンジャイアントの筋肉が怒りで膨れ上がり、牙を鳴らした。

クラッキーは翼を広げ、一つ一つの動きが土埃を空中に投げ上げた。羽が戦旗のように波打った。

空気が緊張で重くなった。

小さなゴブリンたちでさえ後退し始め、歓声は沈黙へと消えていった。

心臓の鼓動一つ分、誰も動かなかった。

そして――

クラッキーが誇り高く一歩前に踏み出した。爪が地面を抉った。

くちばしが磨かれた鋼鉄のように太陽の光で輝いた。

ゴブリンジャイアントが咆哮し、同じく前に踏み出した。

彼らの影が重なった――

鶏と怪物、原始的な反抗心で睨み合う。

ダリルの顎が落ちた。「……マジで鶏が巨人に挑んでるのを見てるのか」

デイビッドの声が割れた。畏敬と不信の間で。「巨大な鶏だぞ、ダリル。鶏が巨人の顔を蹴ったんだ。俺の脳みそが壊れたと思う」

ミステイは手を合わせ、祈りを囁いた。「頑張って、クラッキー……あなたの力を見せて……」

ゴブリンジャイアントが吼え、その咆哮が空を震わせた。

クラッキーは首を傾げ――そして平原中に響き渡る雷のような「バァァァーガァァァク!」を放った――戦いの雄叫びのように。

両方の怪物が同時に突進した――

その重みで大地が裂けた。

風が唸り、土埃が二人の間で爆発した時――

デイビッドはただ囁くしかなかった。恐怖と驚嘆の間で声を震わせながら:

「……俺はどんな世界に来ちまったんだ?」

二人の巨人が衝突すると、風が裂けた。

ドカァン!

衝撃波が大地を揺さぶり、土と羽根を飛ばした。

デイビッドはかろうじてバランスを保ち、片腕で顔を守った。彼らの激突の純粋な力が周囲の空気を震わせた。

クラッキーとゴブリンキングが再び激突した――爪と牙が絡み合い、筋肉が緊張した。

彼らの下の地面がひび割れ、蜘蛛の巣状の線が砕けたガラスのように広がった。

「まじかよ――!」デイビッドはよろめいて後退し、目を見開いた。「地球を揺らしてやがる!」

ゴブリンキングが巨大な腕を振り、クラッキーを叩き飛ばした。鶏の翼が広がって体勢を整え、爪が深く地面に食い込み、土を長く抉り取った。

だがクラッキーが立ち直った瞬間、再び突進し、戦いのラッパのように叫んだ。

「バァァァーガァァァク!!!」

二匹の獣が骨を砕くような力で再び激突した。

クラッキーの爪がゴブリンキングの胸を切り裂き、黒い血が滲み出る三本の深い傷を残した。ゴブリンキングが苦痛で吼え、その息は熱く煙のように悪臭を放っていた。

そして――

ゴブリンキングが前に飛び出し、クラッキーの脇に強く噛みついた。

「クラッキー!!!」ミステイが叫び、声が裂けた。野原中に響く鶏の苦痛の叫びに、涙が目に溢れた。

クラッキーは巨大な翼を激しく羽ばたかせ、ゴブリンキングの頭を叩きつけた――バァン――バァン――バァン!

一撃ごとに戦太鼓のように轟いた。土埃と羽根が舞った。その衝撃でゴブリンは噛みついていた口を離さざるを得なかった。

デイビッドの心臓が太鼓のように肋骨を打った。息もできなかった。

汗が顔を流れ落ち、衝突を見つめながら、心が不信感で回転していた。

「ベポ!」彼は叫んだ。「レベルチェック!」

青い画面が目の前に点滅した:

【名前: クラッキー】

レベル: 19

HP: ???

【名前: ゴブリンコロッサス】

レベル: 21

HP: ???

デイビッドの顔から血の気が引いた。

「……19対21……」彼は震える声で呟いた。「それって……やばい」

彼は拳を握り締めた。「俺がプレイしたどのゲームでも、2レベル差は死刑宣告だ。クラッキーはもう長くは持たない……」

彼はミステイをちらりと見た――

彼女は凍りついたように立ち、手を合わせ、必死に祈り、涙が土の中に落ちていた。

「頑張って、クラッキー……」彼女は囁いた。「お願い……勝って……」

ゴブリンキングが再び咆哮し、霞の中を突進し、破城槌のように巨大な腕を振るった。

クラッキーは対抗し、両翼を爆発的な力で羽ばたかせ、ゴブリンを左に――そして右に――そしてまた左に叩きつけた。

バァン! バァン! バァン!

一撃ごとに突風が起こり、デイビッドをほとんど吹き飛ばしかけた。

ダリルが前に出た。コートが衝撃波で激しくはためいた。

手をサーベルの柄にかざし、野原の端にまだ残っているゴブリンたちに目を固定した。

「もしあの雑魚どもが動いたら」彼は呟いた。「全員斬り倒してやる」

刃の銀色の光が彼の目に反射し、静かでありながら致命的だった。

デイビッドは彼をちらりと見て、声は震えていたが自信ありげに言おうとした。

「な、なぁ……俺たちって、その、逃げた方がいいんじゃないか?」

ダリルは答えなかった。

彼はただ堂々と立ち、クラッキーが叫びゴブリンキングが再び突進する様子を見守った。彼らのシルエットが羽根と血の嵐の中で激突した。

空気が燃えた。

地面が震えた。

そしてどこか深い場所で、デイビッドは何かに気づいた。

今回は……冗談でやり過ごせない戦いを見ているのだと。

勇気と絶望が混ざり合う戦いを。

そして彼にできることは――ただ希望を持つことだけだった。

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