誇れる自分に“成る”――逃げた過去と向き合う現代妖異バトル

本作の芯は「無双」ではなく「選択」。一度退魔師の道を諦めた男が、妖狐に取り憑かれた杏里と出会い、もう一度“守る覚悟”を取り戻していく物語だ。強さは都合よく降ってこない。だからこそ、日常の温度と、夜の参道で襲い来る異能の緊張が鮮烈に噛み合う。術式を“理屈で積み上げる”座学パートも、成長の説得力に直結しているのが上手い。過去の痛みを抱えたまま、それでも前へ進む主人公の背中に、静かに熱くなる。

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