第8話 南条あやの生まれ変わり
似たような方がいらっしゃった。私はそのくだりを読んで密かに喜んだ。似た仲間がいた。やっと仲間を見つけたと思った矢先、本書で自死されたと知り、ショックすぎて涙が零れた。私のようなタイプの当事者はひょっとしたら心身に不調をきたしやすいのかもしれない。塔子さんも複雑性PTSDを抱えていたし、入院もしていた。
東大で検査を受けたとき、心理士さんからこういわれた。
『あなたのように東大の学生で不調をきたしてる方がいる。同じような仲間はいるよ』
この発言の裏に塔子さんの存在があったのかもしれない。東大で検査を受けたとき、その激しすぎる差に心理士さんは『相当に珍しい』と話された。しかし、その後、『東大の学生には似た方がいる』と話された。
おそらくは塔子さんのことを念頭にあったのだろう。願うならば、塔子さんに会いたかった。会って話がしたかった。会えて話せたら情報交換もしたかった。塔子さんは生前、自殺予防の啓発活動もされていた。それを思うと余計に悔しい。
本書の中で精神科医の松本俊彦さんが『南条あやの生まれ変わりかもしれない』と述べられていた。南条あやさんを知らない方へ補足説明をする。南条あやとは99年に亡くなったカリスマ女子高校生ネットアイドルの方で、生前ブログに書いていた日記、『卒業式まで死にません』が没後、ベストセラーになる。
もう、30年近く前の少女で生きていたら40代を迎えていた。南条あやさんはリストカットが止まらなかった。死因もオーバードーズと自傷行為のし過ぎで心臓に穴が開いていたからだったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます