第2話 衛宮士郎(9w1)からアーチャー(5w4)への性格変化について

「表と裏」の仮説と衛宮士郎⇄アーチャーの関係


まず最初に大事な前置きをしておきます。

ここで語る「表と裏の性格」という考え方は、エニアグラムの一般的な概念ではありません。

これは私自身が独自に立てている仮説です。


私はこう考えています。

人は表の性格で乗り越えられない壁に出会った時、裏の性格へと変化することで目の前の困難に立ち向かおうとする。

この「表と裏の性格」とは、エニアグラムの図で正反対の位置にある性格同士の関係を指しています。

つまり、普段の自分(表)ではどうしても突破できない局面で、全く逆の資質(裏)が表に出てくるというわけです。

この仮説を検証するために、アニメキャラクターの性格変化を題材に考察してみました。


検証例:衛宮士郎とアーチャー


今回取り上げるのは『Fate/stay night』の衛宮士郎とアーチャー。

私の解釈では、

衛宮士郎=表の性格 9w1

アーチャー=裏の性格 5w4

という関係で描かれています。


表:衛宮士郎(9w1)

9の要素:人を救いたい、争いを避けたい、みんなを丸く収めたい。

w1の要素:「正義の味方になる」という絶対的理想を抱え、正しさにこだわる。

その結果、士郎は「自己を犠牲にしてでも他人を救おうとする平和主義者」。

まさに典型的な9w1として物語に立っています。


裏:アーチャー(5w4)

しかし、士郎が抱えた「正義の味方」という理想は、やがて破綻の壁に直面します。

その時に表に出てくるのが、正反対の裏=5w4。

5の要素:感情を切り離し、冷徹に分析。自分を道具として扱い、合理的に選択する。

w4の要素:強烈な孤独感、存在意義への苦悩。「自分は何者なのか?」という問いに沈む。


これはまさに未来の士郎=アーチャーの姿。

理想を追い続けた果てに、孤独で冷徹な観察者(5w4)へと変貌した姿です。


表と裏の構造

整理するとこうなります。


項目 表:衛宮士郎(9w1)

欲求 皆を救いたい、調和を保ちたい

行動 自己犠牲で人を助ける

結果 「正義の味方」として理想を掲げ続ける


項目 裏:アーチャー(5w4)

欲求 理想の果てに答えを求める孤独

行動 感情を排し合理的に選択する

結果 「正義の味方」の果てに虚無と孤独に沈む


衛宮士郎(9w1)は「正義の味方」という理想を貫こうとするが、

その理想が破綻するほどの困難に直面すると、裏の性格である5w4=アーチャーへと変化する。


つまり、アーチャーとは「士郎が困難に直面したときの裏の人格の極致」。

9w1の理想が、5w4的孤独へと転落した象徴なのです。


この事例は、私の仮説――

「人は困難に出会った時、真逆の裏の性格へと変化して困難を突破しようとする」

――を示すひとつの確かな実例だと考えています。

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性格の変化が大きいアニメキャラクターの考察 がんべあ @gunber

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