だいっきらい!

天照うた @詩だった人

 私はある幼馴染のことが好き……というわけではなく!


 だいっっっっっっきらいです!!!



「おー結希ユキ。おはよ~」


 そう言って私の頭を無遠慮に撫でてくる(かき回してくる)この男。

 さぁ今日も現れました。私のライバルです。一応名前説明します。鏑木かぶらぎ海翔かいと、通称かいくん。私の隣に住んでいる幼馴染くんです。元々は良い子だった、はず……。

 ぱっと海くんが手を退けた拍子に、私の姿が窓に映る。……このぐしゃぐしゃにされた哀れな髪の姿が。もう、朝からこのハーフアップ時間かけたのに!


「あのさぁ、その距離バグいいかげんやめてくれない? 私たちただの幼馴染みじゃん」


 毎日髪型崩れるの困るんですけど……そう言い出しそうになったけど、私の喉からは続くはずの言葉が出なかった。

 だって、海くんがなんか、いつもと違う表情してる……。


「え、海くん……」

「ユキにとって、俺はいつまでもただの幼馴染のままなの?」

「……っ!?」


 一気にぼっと顔が赤くなっていくのがわかります。だって、え?

 それ、もうなんか、え、告白? ちょっと待って、ぜんぜんついてけない。

 顔を手で覆ってじたばたしたくなるのをこらえて、海くんに向き直る。


「海くん、私は海くんのことが……」

「……ぷっ」

「………………は?」


 顔を上げる。緊張していたせいか、いつの間にか足下を見てしまっていたみたい。

 顔を上げたその先には……必死で笑いをこらえている海くんの姿があった。


「いや、え? 告白だと思った? はは、いつも通り安直なことで」

「……~っ! あんたまたやったのね!!」


 そうだ、前にもこんな雰囲気で騙されたこと何度もあった。

 あぁ、私またバカやらかしちゃった。


「もう一回言ってあげる。海くん、私は海くんのことが……」



 思いっきり息を吸って、ありったけの声量をこめる。



「だいっっっっっっきらいです!!!」

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