第25話 明日香と都の百合百合なお泊り会 ~その2~

……えっと、なぜこうなったのだろう?

明日香は、都と口づけをしながらそんなことを考える。


事の始まりは、お昼にユウちゃんとデートの約束をしたところから。

突然のデートのお誘いに、どう応えようかと思っているところに都が現れて、とんとん拍子に、明日、でデートすることになったの。

そう、というところがポイントね。

悠ちゃんと二人でするのに抵抗はないけど……むしろ嬉しいけど、改めて”デート”といわれると、思わず緊張しちゃうのよね。

そういう意味では、都が来てくれて助かったって思いもあるけど、やっぱり悠ちゃんと二人っきりでちゃんとデートしたいって気持ちもあって……。


「なんて顔してるのよ。」

ここは都の部屋……のベッドの上。

お互いパジャマ姿で、ベッドの上でお話し中……いわゆる”女子会”ってやつ?

あれから、都の呼び出され、さっきまで、明日の”デート”に着ていく服の着せ替えを互いにしていたところ。

お互い納得のいくコーデが決まったから、今は小休憩……なんだけど……。

「なんて顔って………どんな顔してた?」

「都のお邪魔虫、って顔。」

「そんなことっ!………思ってもなくはなくもないけどぉ……。」

「心配しなくても、お昼を食べたらお邪魔虫は消えるから、あとは心行くまでイチャイチャすればいいわよ。」

「イチャイチャって………できると思う?」

「そこは……まぁ……がんばれ?」

「うぅ、酷いよぉ。」

「でもさ、明日香。」

「ん?」

「もし、悠が明日こんなことしてきたら……どうする?」

都はにやりと笑いながら、遊ぶように明日香をベッドに押し倒す。布団の柔らかさに身体が沈むと、明日香は「きゃっ!」と短く声を上げて身をよじる。

「もう、なんで急に…!」と、顔を赤くしながらも、どこか楽しそうな目をして都を見上げる。

「だからね、悠がこんな風に迫ってきたらどうするのぉ?」

都の言葉に、明日香の頬が熱を帯びる。恥ずかしさと緊張が入り混じった顔で、必死に笑顔を作ろうとするけれど、声は少し裏返ってしまった。


都はその反応にくすくす笑いながら、明日香の手を軽く押さえたり、肩にそっと触れたりして、くすぐるように動く。

明日香は逃げようと手足をばたつかせるけれど、都の指先が触れるたびに、ちょっと息が詰まるような、でも笑い混じりの声が漏れてしまう。


「もぉ…やめ…、でも…や、やめないんだね?」

明日香の声は甘くはにかみ、緊張とくすぐったさで少し震えていた。

都はいたずらっぽく笑いながら、「ふふ、明日香がそんなに反応するなんて思わなかった…可愛い。」と囁く。


ベッドの上で二人の手足が絡まり、笑い声とちょっとした息遣いだけが響く。

ベッドの上で、明日香はまだ少し混乱したまま都を見上げていた。頬は赤く、呼吸も少し速い。都の指先が肩や腕に触れるたびに、身体の中で小さな緊張が走る。

「もぉ…なんで、急にこんなこと…、みゃぁこのバカぁ……」

明日香は声を震わせながらも、思わず笑みをこぼしてしまう。逃げたい気持ちと、どこか嬉しい気持ちが交錯して、言葉がまとまらない。


都はそんな明日香の様子を楽しむように、ゆっくりと身を近づける。目線を合わせながら、からかうように微笑むその顔に、明日香の心臓が跳ねる。

「ふふ、明日香ぁ。いやじゃないんでしょぉ?」

都の声には遊び心がいっぱいで、でもどこか優しい響きもある。


明日香は慌てて手を伸ばして都の手を払いのけようとするけれど、都は軽く押さえ返す。

「きゃっ、ちょ、ちょっと…!」

その瞬間、明日香の体が少し浮いたような感覚に包まれ、胸の奥がほんの少しドキドキする。恥ずかしさと緊張で息が詰まりそうになる。

……だけど、いやじゃない……みゃーこが相手だから……。


都はさらに近づき、額と額がほんの少し触れる距離まで顔を寄せる。

「…ねぇ、明日香、逃がさないわよ?」

その言葉に、明日香は顔を真っ赤にして、目を逸らしながらも、心臓が早鐘のように鳴るのを感じる。くすぐったさとドキドキが混ざり合い、自然に笑い声が漏れる。


ベッドの上で二人の手が絡まり、足がちょっとぶつかるたびに、軽い笑いと息遣いが交錯する。

性的な意味ではなく、ただ互いの距離と感触に反応してしまう――そんな、女の子同士の微妙な駆け引きと甘い緊張感が、部屋いっぱいに漂っていた。

明日香は息を整えながらも、悔しい気持ちと少しの好奇心が混ざって、決意を固めた。

「今度は…私の番、だよ…!」


そう言って、軽く都の腕をつかみ、布団の上で押し合いを始める。

都は驚いたように目を丸くしてから、にやりと笑う。

「お、やる気になったね?じゃあ、受けて立つよ!」


二人の手が絡まり、足がぶつかるたびに小さな笑い声が飛び交う。明日香は自分から動くことで、先ほどまでのドキドキと恥ずかしさを少しずつコントロールできるようになっていた。

都はその様子を楽しみながらも、軽く反撃してくる。肩や腕に触れるタイミングが絶妙で、明日香の心臓はまた跳ねる。


「ふふ、明日香、まだまだだね!」

「そ、そんなこと…ないもん!」

二人の声は笑いと息遣いでいっぱいになり、互いにちょっとずつ優位に立とうと心理戦を繰り広げる。


明日香は都の手をかわしつつ、タイミングを見計らって軽く押し返す。都はバランスを崩しそうになりながらも、すぐに持ち直して、二人の笑い声がさらに弾む。

すでに触る箇所は胸など感じやすいところまで広がっていき、時折切なげな喘ぎ声まで飛び交う始末。


互いに「ここまで来たら行くところまで……行っちゃう?」という絶妙な距離感を保ちながら、じゃれ合いのテンポはどんどん速くなっていく。


ベッドの上で手足が絡み合う中、明日香はふと、心臓がまだドキドキしていることに気づく。

「クスクス……もぅ、なんでこんなこと…でも、なんか楽しい…!」

都もにっこり笑って、「やっぱり明日香はいいねぇ」と返す。二人の間に漂うのは、甘くてぎりぎりな緊張感と、純粋な楽しさだけだった。


明日香は息を整えながら、少しずつ笑みをこぼす。

「ふふ、みゃぁこ、私が本気だしたら…!」

その宣言とともに、明日香は都の胸をわしづかみにし、驚いてバランスを崩させ、そのまま組み伏せる。都は驚いた表情を見せ、でもすぐに笑いに変わる。


「あら、明日香ちゃん、意外と積極的?!」

都の声には挑戦的な響きがあり、目もきらきらと輝いている。二人は笑いながら押し合い、手足が布団の上で絡み合う。

明日香は自分から動くことで、先ほどまでのドキドキを少しずつ楽しさに変えていく。


「うっ、あははっ、だ、ダメ……ちょっと……そこ、ダメ………意外と…効く…!」

都は肩を揺らしながら笑い、思わず息が乱れる。明日香の手が絶妙なタイミングで胸に触れるたびに、都の身体が反応してしまう。


明日香はさらに力を込めて、都の腕を押さえ、感じる部分を責めながら、軽く顔を近づける。

「ふふ、どう、都?これが私の本気だよ!」

都は一瞬たじろぐけれど、すぐに目を細めて笑う。

「やるわね……明日香…でも、まだまだだね!」

一瞬のすきを見て都が明日香の弱い部分に手を伸ばす。

「ぁんっ、そこは禁止でしょっ!」

「ゆうちゃんあいてでもそんなこというのぉ?」

「い、今は、ユウちゃん関係ないよねっ!」

お互いに、弱い部分を責め合い、二人の間に笑いと息遣いが交錯し、ぎりぎりの距離感で絶妙なバランスのじゃれ合いが続く。


「…ふぅ…」

明日香は小さくため息をつき、笑いながら都を見上げる。

都も息を整えつつ、目を細めて微笑む。二人の間には、笑い声も、くすぐったさも、切ないようなじれったさも、もうすべて落ち着きを帯びて、静かな余韻だけが残った。


互いに言葉は要らなかった。笑顔だけで通じ合い、自然と距離が縮まる。

明日香の手が都の腕に軽く触れ、都もそっと手を重ね返す。心臓がまだ少し速く打っていることを、二人は互いに感じ取っていた。


そして、何も言わずに、互いの目を見つめたまま、静かに唇を重ねる。

ぎこちなくも、自然に、互いの温もりを確かめるような短い口づけ。

笑い声も言葉もなく、ただ二人だけの静かな時間が流れる。

ドキドキした心臓の音が、互いの存在を強く感じさせる。


やがて、唇を離し……明日香は突然羞恥に襲われる。

「みゃぁこの……ばかぁ……。」

明日香はそれだけを言うのが精いっぱいだった。

「クスクス……いやだったぁ?」

からかうように言う都。

「ばかぁ……みゃぁこの意地悪ぅ……」

明日香はそうつぶやきながら都を抱きしめ、その胸に顔をうずめる。

たぶん、自分はこの親友に一生かなわないだろうなぁ……。

都の胸の柔らかさを感じながら明日香はそう思う。

ベッドの上には、まだ少し残る緊張感と、確かな温かさ――甘い絆が漂っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 08:00 予定は変更される可能性があります

有栖川悠は女の子が好き!? @Alphared

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画