こちらは、虹子ちゃん先生シリーズのお話です。
とてもキュートな女性で、男性のみならず、女性からも好かれるのがよくわかる虹子ちゃん先生。
"連絡が来たのが昨日。金曜日の夜。そして、土曜日の午後にはもう、あたしは何百キロも離れたこの町に来ている"
これがもう、突き刺さります。
きっと彼女の好きは自分の好きとは違うもの、と分かっていて、それでも連絡して。
何百キロも離れた場所から翌日に来てくれたその人の前で泣き、眠る。
それは、相手からはとても、ズルく、可愛く、痛いものでしょう。
虹子ちゃん先生の世界がふと広がった、とてもすてきなお話でした。
大学時代の親友から久しぶりに連絡があり、親友の家で宅飲みすることになった「あたし」。
彼女は酔に身を任せて眠り落ちてしまう。
そんな彼女にブランケットをかぶせた後、いろいろな思いが駆け巡る。
大学を卒業後、「あたし」は県外の別の大学院に進学した。
それは彼女と一緒に居たくなかったから――。
本作は、かつての親友と久しぶりに再会を果たしながらも、親友に対する複雑な思いを回想する……優しくてほろ苦い傑作です!
なぜ「あたし」はそのような思いを抱くようになったか?
親友が元・親友へと変わっていく過程……ここはいろいろと考えさせられました。
「あたし」の思いにも共感できるし、また、自分が「彼女」の立場だとしたら……やはり舞い上がってしまうかも、と。
ケンカ別れとはまた違う、心の距離感の離れ方。
この素晴らしき描写に……人生の中で、きっと主人公と同じような気持ちを抱いてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
短編ながらも、複雑な思いを丁寧に描いた素晴らしい物語!
是非ともご一読下さい!!!
カクヨム。
読み専の方もおられると思います👀
ちなみに、わたしは書くをやっています✏️
物語には書かれていない、作者しか知らないこと。
わりとあるんです!
例えば、今、わたし、名もなき夫婦のお話を頻繁に書いてます✏️
この夫婦、しかも旦那の方を主人公にして、カクヨムコンでお話を書こうと思ってます。
けど、そんなの誰もわかんないですよね👀
このお作品も、作者様しかわからない秘密があるのです🤫
でも、そこはミスミテンテン様。
しっかりと読めば、読み取れます。
その秘密は、本編から読み取るか、近況ノートをお読みになってくださいませ🤗
お作品自体も、1分小説とは思えない展開!
そして、タイトルが効いてます!
ぜひぜひ、お読みくださいませ♪
胸に刺さる、とびきり優しい短篇でした。・みすみ・さん『おやすみ、親友だったひと』は、嫉妬と愛情が同じ手つきで同居する瞬間を、息を呑む筆致で切り取っています。冒頭の「ふわり」で始まる静かな重力。寝落ちした『元・親友』に「スヌーピーのブランケットをかぶせてやった」――まず『介護のような優しさ』が置かれ、その直後に「……絞め殺してやろうかな」が顔を出す。この振れ幅の演出が見事です。
具体的に良かったところ
・生活の手触りが効いている
「1DK」「最新モデルのパソコン」「スーツが増えて」など、物量の差分で『あの頃と今』を見せる巧さ。中でも「生活者の匂いがした」の一文が、職に就いた彼女と『象牙の塔』にいる語り手の距離を端的に刻みます。
・関係性の断面を射抜く台詞
「同時に、あたしは失恋した」の宣告は、親友への秘めた感情を一閃で明かす名フレーズ。続く「本当はうっすら気づいていたくせに。親友も恋人も手放したくなかったズルい女」が、憎しみと未練の混濁を正直に言語化していて強い。
・行動で語るやさしさ
「クッションを枕に」「ブランケット」「頬にキス」――謝罪も説教もなく、『世話を焼く』所作でしか語らない語り手。その頂点が「おやすみ」。別れの祈りであり、まだ手放せない気持ちの揺らぎでもある二重の意味が沁みます。
・小さなユーモアで呼吸を作る
「酒は…同じくらい飲んだが、あたしはザルだ」や、急行で「何百キロも離れたこの町に来ている」機動力。重くなりがちな語りに、軽い笑いとスピード感を差し込む配置が巧い。
・タイトルの回収
最後の「おやすみ」と、表題「おやすみ、親友だったひと」が重なる瞬間、読者の中で『かつて』と『いま』が静かに接続されます。憎しみの言葉を吐いた直後に「死ぬほどズルくて、世界一かわいい」と続けるバランス感覚も抜群。
総評
短い分量に、未練・悔しさ・愛しさ・優越感・劣等感が層になって詰まっています。暴力衝動すら『看取るようなやさしさ』に回収していく呼吸は、語りの信頼そのもの。具体物(ブランケット/部屋の差分)と決定的な一文(「同時に、あたしは失恋した」)の連携が抜群で、読み終えた後もしばらく頬に触れる温度と刺の両方が残りました。とてもよかったです、もっと読みたい!