寝顔

閒中

寝顔

私は自分の寝顔が嫌いだ。


私は元々、みんなに羨ましがられるくらい肌が白かった。

私も色白の自分が嫌いじゃなかった。

しかし、小学校の林間学校での就寝時、私の寝顔をスマホで撮影していた同じ部屋の友達が周りの友達に笑いながら言った言葉と写真が私の中の全てを変えた。

「ねぇ見てよ!死んでるみたい!」


スマホに映った私の顔は青白く、眠っているだけなのに本当に死んでいるようだった。

友達たちは悪気無くゲラゲラ笑っていたが、私はスマホの画面に映った自分の寝顔が忘れられなかった。


それから私は自分の寝顔を見られる事を極端に嫌った。

修学旅行で宿泊する時は誰よりも遅く寝て、誰よりも早く起きた。

彼氏が出来ても決して寝顔を見せなかった。

やがて眠る事自体が怖くなり始めた。

死んだ顔で眠る私が存在する事が怖かった。


私は眠れなくなった。

薬に頼り、無理やり脳を騙す。

そんな生活を何年も続けていた。

心も身体もボロボロになり何回も自殺未遂を繰り返した私は、ある日遂に本当に死んでしまった。


死化粧をされ棺の中でやっと安心して眠りに着いた私を見て、みんなは涙ながらにこう言った。


「まるで生きてるみたいだね。」





〈終〉

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寝顔 閒中 @_manaka_

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