閒中

くだらねぇ人生だ。 毎日決まった時間に起き、決まった電車に乗り、特に話も合わねぇ奴等と仕事をし、クタクタになりながら帰宅したら生産性のない動画やSNSを観て、刺激も感動もない一…

道に天使の羽が落ちていた。 羽と言っても、抜け落ちた一本の羽根ではない。 根こそぎ丸ごともがれた翼、だ。

その病院の人気は凄まじく、予約がなんと7年待ちだそうだ。 内科でも皮膚科でもない、其処は世界で唯一の『記憶消去科』を掲げ、独自の方法で世界初の“部分的記憶消去法”を編み出した女…

私のことは雑に扱っても良い。 それが私。

ふと視界の隅に何やら動く気配を感じ目線を上げると、見慣れない蜘蛛が部屋の天井の片隅にいた。 男はそれを【雲】と名付けた。

仕事帰り、偶然立ち寄った小さな花屋。 そこには“人の心を花に変えて売る”という不思議な店主がいた。 光を放つ花々の中で、ひときわ妖しく咲く真紅の彼岸花。 「それは心を持たない怪物…

「残念ですが…。」と医者が俺に宣告する。 あと三ヶ月で俺は死ぬ、と。

この女は私に甘い。 それで良い、それが良い。

道の真ん中に誰かの右脚が落ちていた。

夫が私を殺そうとしている。 夫は私の目の前で、出来立ての毒入りハンバーグの皿を、ニコニコしながら持っている。

最悪だ。上司がAIだった。

【悪魔が人間に恋をしたら石になってしまう】

『内緒だよ？』 万引きをした瞬間を見てしまった私に、リカは笑顔で言葉の呪いをかけた。

ある晴れた日、俺は歩道の向かいから歩いて来る全身アザだらけの小学生男子に釘付けになった。

20年後にまたこの時計台の下で。 「大人になったら絶対にまた会おうね！」

昼休み、女子高生の興味ある話題は恋、恋、恋。 まじでウザいんですけど。

私の人生？ そんなもの、人様に聞かせられる程のもんじゃあありませんよ。

全人類が固唾を飲んで見守り、そして大きく声を上げた。 その中心にいたのは、私だった。

私は自分の寝顔が嫌いだ。

ケーキに灯るローソクの火を吹き消す。 私はこれが苦手だ。

ある日、星のない夜のように真っ黒なカラスは、いつものように真っ暗な夜空を飛んでいました。

あなたの街にも一人はいるだろう。 良い意味でも、悪い意味でも、有名な人が。

『パパ　だいすき！』 小さな紙に書かれた可愛らしい文字を見て思わずニヤける。

まただ、この違和感。 私は部屋をぐるりと見渡し、寒気を覚える。

三途の川の横断も最近は進化した。

王は死ぬのが怖かった。

「由々しき事態だ。」 マクドナルドの一卓を囲む我々三人。 本日は非常に重い議題について話さなければならない。

夏はイベントが多い。 イベントが多いと増殖するのは不埒な輩。

僕には超能力がある。 超能力と言っても、空を飛んだり身体を透明にしたりするような漫画的な事は出来ない。 『物の位置を入れ替える』 出来ることはただそれだけだ。

夏だし、折角だから怖い話でもしよう。

「あ、もしもし？俺だけど、ちょっとさ、お金貸して欲しくて…」

好きな人がいた。 好きな人には、好きな人がいた。

網にかかったのは小さい魚と大きい魚。 そして、美しい人魚。

『好き』 『な』 『食べ』 『物』 『は？』

おばあちゃんが亡くなった。 97歳、大往生。

まさか、まさかまさかまさかまさか。 遂に、遂に遂に遂に遂にこの時が。 口元が緩みそうになる。 涙が滲みそうになる。 興奮した身体が熱い。 最高の気分だ。

「ちょっとお兄さん、聞いてくれませんか。」 週末の居酒屋。 カウンター席で一人、明日のことをぼんやり考えながらチューハイを飲む私に話しかけてきたのは、ほろ酔いの中年男性だった。