浮雲

古 散太

浮雲

ある初秋の夕暮れどき

黄色味を増す青空の中

ただひとつだけの浮雲

確かな意図は何もなく

この瞬間の季節を味わう

意図なき雲に怖れはなく

主張するものも何もない

ただあるがままそのままに

風の吹くまま気の向くまま


斜陽の光を身に浴びて

黄金色に輝くその姿で

ただひとつだけの浮雲

目指すものは何もなく

存在しているだけでいい

どこからやって来たのか

どこへ行くのかなどない

ただあるがままそのままに

風の吹くまま気の向くまま


静かな風にあやつられ

すこしずつ東へ向かう

ただひとつだけの浮雲

強い風が吹いたならば

吹かれたままに流される

抗おうとは思いもしない

それが自然の摂理だから

ただあるがままそのままに

風の吹くまま気の向くまま

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浮雲 古 散太 @santafull

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