本作は仏教の世界観そのものを描いています。
それがとても怖いと教えてくれてもいます。
最高のホラー作品です。
いまからこの作品の意味をお教えいたしますね。
まずは知ってください。
この世にもあの世も、地獄などないのです。
マジですよ?
だって善く生きれば救われる。
そんなことがないのだから。
だれも救われないのだから。
地獄なんて、ある意味がないのです。
面白いでしょう?
本作の中の鶏・蛇・豚は仏教における三毒(貪・瞋・痴)の象徴です。
ここに描かれた、指示される者は我々です。
無自覚に煩悩の世界へ生まれ落ちる我々。
哀れ極まりないですね。
指示通りに、階を上げて、欲を抑え、憎しみを断ち、比較を捨て、善いものになりましょう。
そうしなければならないのです。
意味なんてわかりもしないのに、強いられるのです。
仏教の修行と戒律の謂ですね。
しかもそれを積むことは無意味なんですね。
人はなんにもなれないから。
面白いですよね。
本作は告げます。
悟りそのものが輪廻というシステムの一部だと。
そして輪廻を巡る修行の最終段階で突きつけられること。それは、この世のすべてに意味がないという認識です。
一切虚無の自覚。
仏教的には〝空〟の理解ですね。
面白いですね。
そこにも救済はない。
だって、この世にはなんにも意味がないから。
ただグルグルグルグル、生きて死んでを繰り返すだけだから。
あなたはこの世に意味がないと気がついても、喜びも悲しみもなくなるだけで、輪廻の輪からは外れない。
なにせ、この時点で感情なんてもう無くしていますからね。
面白いですよね。
この作品が描く輪廻は、意味のある循環では、ないのです。
ただ無限に回り続ける不可避のシステムなんです。
本作を読んだ後に残るのは、恐怖や絶望ではありません。
仏教思想を“希望”として読めなくなってしまった自覚ですよ。
面白いですね。
ほらもう、知ってしまいましたね。
知ったあなたは、もう仏にもすがれませんね。
はい。それこそがこのホラーの意味なのです。
面白いですね。