落ちこぼれの俺が最強ママたちとパーティを組むことに。〜光属性?闇属性?いいえ、選ばれたのは母属性でした〜

@marimo-chan

第1話 「俺とアイツとママ」

 「では、神託に従いパーティを振り分けてゆくぞ」


 ヤバいヤバいヤバい。

 校長の言葉により、悪夢の時間が幕を開けた。


 俺を除いた多くの生徒の名前が次々と呼ばれていき、やれ「一緒で嬉しい」だの、やれ「これからもよろしく!」だのキャッキャッしてやがる。


 今日は冒険者養成学校の前期最終日。この学校は前期と後期に別れており、前期が終了した時点で神からの神託に従い生徒内でパーティを結成するのだ。


 そして後期が始まるまでの約1年間、そのパーティで冒険者として活動し実践での経験を積み、後期でよりスキルアップするための訓練を積む。

 

 ……はずだったのだが。


 「よぉ、レド! お前以外の全員の名前が呼ばれたぜ?」

 

 ニヤニヤと完全に俺を見下した表情を浮かべ、生徒の1人であるグウェン・ベルムートが話しかけてきた。

 

 その両隣には神託で結成したのであろうパーティの女の子が2人寄り添っている。

 確か名前はユリアとトリーシャ。どちらも学年成績2位と3位の才女である癒し手と槍使いだ。


 「……は、はははっ。グウェン、豪華なパーティだな」

 「そりゃ当然だろ! この俺様のパーティだぜ? お前みたいな凡人とは違う、本物の天才のな」


 言うや否やグウェンは自分の物だとでも主張するかのようにユリアとトリーシャの肩に腕を回し引き寄せた。


 言い返そうとも思ったが、俺はすぐに言葉を飲み込んだ。

 何故かって?

 そんなの明白だ。


 グウェンは入学当初から成績トップに君臨している。ベルムート家はかつて英雄を輩出したとされる名門貴族であり、その血筋からかどんな剣技や魔法でも『訓練』ひとつする事なく使いこなす。


 まだ生徒の身でありながら、『絶対なるグウェン』なんて二つ名で呼ばれているのだ。

 

 対して俺は圧倒的な成績ドベ。同じ村からこの学校へと入学したよしみで、ほぼ主と従者のような力関係ではあるものの、前期は常に俺とグウェンでペアを組んでいた。


 まぁあれも、俺へのマウントと当てつけが目的だったんだろうけど。


 「もう才能無いし村に帰った方が良いんじゃねぇか?」

 「ねぇ〜グウェン。レドリックの奴なんてどーでも良くない?」

 「同意ね。落ちこぼれを相手にする必要は無いわ」


 ユリアとトリーシャのやつ、すっかりグウェンにベタ惚れだな。まぁ無理もないけど、グウェン同様ゴミを見るような目で見られると普通に泣きそうになっちゃうよ?俺。


 いや、クラスの女子に見下されるのは別に何にも感じないのだが、この情けない姿を見られたくなかった人が今この場にいるのだ。それは……。


 「チッ、あのババア。来るなっつったのによ……」


 俺の肩越しに視界に入ったのか、グウェンはその人に向かって悪態をついた。俺もチラリとそちらに視線を向ける。


 そこには美しく柔らかい栗色の髪を揺らす1人の女性が立っていた。生徒の親が多く参列する場所に居る彼女の容姿は、周囲と比べて一際整い際立っている。


 「……フレイさん」


 フレイ・ベルムート。

 グウェンの父親が妻を亡くしたのち、新たに迎え入れた後妻だ。つまりグウェンの義母にあたる人だが、グウェンは彼女を心底嫌っている。

 理由は詳しく知らないが、フレイさんが父の遺産狙いだと決めつけているようだ。


 だがあの人はそんな人間じゃない。幼くして両親を失った俺に対しても、分け隔てなく接してくれた優しい女性だ。


 「グ、グウェン! レドリック!」


 俺たちの視線に気付いたのか、フレイさんは嬉しそうに両手を小さくパタパタと振った。

 どうやら俺とグウェンの諍いには気付いていないらしい。

 

 よかったぁ。クラスメイトには何を思われても構わないけど、フレイさんにはカッコ悪いとこ見られたくないからな。


 「売女が……。今度屋敷に帰ったらタダじゃ済まさねぇ……」

 「っ。おいグウェン、おまえ──」

 

 聞き捨てならない言葉に思わず声を荒げたその時。


 「──むっ、最後の神託が……。レドリック!」


 えっ、校長が俺の名前を呼んだ? でももう生徒は俺以外残っていないはずだが……。 


 なんか教師陣がざわついてないか?

 フレイさんの前でもうこれ以上の辱めは御免だぞ……。


 校長が眉をひくつかせながら、困惑した表情を浮かべつつも口を開いた。


 「あー……、えー。し、神託に従い、レドリックとパーティを組む者の名を1人読み上げる」


 ゴクリ。

 思わず生唾を飲み込む。


 「──フレイ・ベルムート!!」


 …………。


 「「「えぇぇっ!?」」」


 神聖な神託の間で、3人の驚愕の声が響き渡った。

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