『あなたのいない世界』のどこかに実は自分も存在しているかも

ものすごく脳が刺激される物語です。様々なキャラクターが放つセリフは、自分に突きつけられているかのごとく感じられたり、自分の内側から漏れ出る叫びそのものだったり。

確かな描写力から、読み進めると同時に頭の中に映像が浮かび上がってきますが、その映像が、レイヤーのように、しかし少しずつズレながら幾重にも重なっていて、今この物語を読んでいる自分は現実にいるのか、もしかしたらこの重なっている世界のどこかに呑まれているのではないかと、心地よい不安感に包まれます。(うまく書き表せられないのですが、読み進めると同時に、何かしらの脳内物質が分泌されるようなイメージです)

いちばん上の表層に現れているストーリーの奥の奥の、ずっと奥のほうから「今ここにいるお前は何者か」と鋭く問われているような気分。そしてその答えを探し求めたい自分がいる。この先がとても楽しみです。