第三章『二人の 初デート』


 終業式が過ぎ、春休み。

 そろそろ桜も咲こうかという頃、僕らは初めてのデートをすることになった。


 場所は映画館。

 篠宮が見たかった映画が、今日封切りなのだそうだ。

 僕はホークと一緒に、約束の十分前に駅前の広場に到着。彼女を待っていた。


「いいか勝紀君。彼女が現れたら、まずは服装を褒めるんだ。昨日練習したとおり、デート時の会話、パターンD4Pをベーシックに――」

「了解です、ホークさん。この会話システムにも慣れてきましたし、なんとかやってみます」


 今日はデート。彼女と一緒にいる時間は、学校生活の比ではない。正直、不安と言えば不安だった。


「コードネームに、さん、は不要だ。……そうか。ならいいが。しかし物事というのは、慣れ始めが一番怖いものだ。気を抜くんじゃないぞ」

「はい――気をつけます」


『理恵との接触までおよそ三十秒。作戦ミッション開始スタート


「了解」


 大島さんのアナウンスが聞こえると、ホークはコートの裾を翻して歩いていった。


 打ち合わせどおり、また一定距離を保って尾行するのだ。さらに今日は学校と違い、映画館というホークがいても不自然ではない場所。館内まで尾行する作戦になっている。


 やはりホークがすぐそばにいてくれるというのは、いざというときの安心感が違う。


 ――と、たったったっと、足音が聞こえてきた。

 見ると、篠宮が小走りで駆け寄ってきていた。おさげの髪が、肩口でぱたぱたと揺れている。


「ゴメンなさい! わたし、遅れちゃった?」

「ううん。そんなことないよ。僕が早く来てただけだから」


 篠宮の服装は白いブラウスの上に淡いピンクのチュニックを羽織り、空色の膝丈プリーツスカートという、春らしい爽やかなファッション。


 ――そう言えば、篠宮の私服姿を見るのって、初めてだ。

 不意に、胸が高鳴った。


『カツキ君!? どうした?』


「あ。う、うん。篠宮、その服よく似合ってるね。かわいいよ」

「そう? あはは。ありがとね。実は服選ぶのに時間かかっちゃって……。でもよかった。山口君が褒めてくれて。さんざん悩んだ甲斐があったよ」


 篠宮は頬をほんなりと赤らめながら笑った。


 デートという言葉の魔力か。

 それとも、見慣れない私服だからか。


 とにかく今日の篠宮は、なんだか可愛く見えた。いつもは篠宮の目を見ながら話すことなんかなんともないのに、今日はなぜか照れてしまう。


 僕はそんな動揺を悟られないように、なるべく平静を装う。


「それじゃ、さっそく行こうか。そろそろ映画が始まる時間だろうし」

「うん。行こう!」



 映画館はけっこう混んでいたけど、なんとか端のほうの席に座ることができた。

 篠宮が安堵の息を漏らす。


「でもびっくりした。こんなに混んでるなんて。地味な映画だから、もっと空いてると思ったのに」

「でも恋愛映画って、やっぱりデートで見る人たちが多いからね。ほら、周りもカップルが多いし」

「そう、だね……。でも、他の人たちから見たら、わたしたちもそのカップルの一組なんだろうね……」

「あ……。そ、そうだよね」


『よし、カツキ君。そこでちょっと照れてみて』


 大島さんから指示が飛んだ。


 自慢ではないが、以前の特訓の甲斐もあって、演じることはかなり上達した。照れろと言われれば照れるし、怒れと言われれば理由もなく怒ることだってできる。泣けと言われれば泣くことだってできるかもしれない。

 もはやそこいらの下手な俳優より、演じることに長けてしまった。


 けれど――

 今、この瞬間は、演技を抜きにして、本当に照れてしまった。


『おお勝紀君。名演技だぞ』


 映画館のどこかから僕らを監視しているホークが、感嘆の声をあげた。


 違う。

 僕は演技をした覚えはない。

 僕は――僕の心は、どうしてしまったのだろう。


 一人、心の迷宮に迷い込んでしまった僕をよそに、館内は照明が落ちてブザーが響き、映画が始まった。



 映画の内容は、運命に翻弄され引き裂かれた恋人たちが織り成すラブロマンス。

 キャッチコピーは『愛は運命に勝てるか?』。


 映画はまだ序盤。

 幸せに暮らしていた恋人たちが突如引き裂かれ、苦闘の日々が始まったところだ。ここから主人公たちにどんな苦難が降りかかるのか? また、どうやってそれを乗り越えるのか? この手の映画の面白さは、そこで決まると言っても過言ではない。


 だが結局のところ、映画の結末自体は二つに一つ。

 ハッピーエンドか、バッドエンドか。


 観客は娯楽を求めて映画館に足を運ぶのだから、その多くはハッピーエンドを望む。好き好んで暗い結末を見たがる人は小数だ。


 ではこの映画はどうか?

 ここまでの流れからしてハッピーエンドは間違いないだろう。と、すると、いかにそれを予定調和に終わらせないか、ということが全てだ。


 僕の興味は既に映画の本筋から離れ、その一点に終始していた。


(映画鑑賞は楽だな)


 なにしろ喋る必要がない。

 篠宮と付き合う上で一番の難題は、会話なのだから。


 ふと、篠宮のほうを見る。

 彼女は映画に集中しているのか、真剣な眼でスクリーンを見つめている。


 それだけではない。

 完全に主人公たちに感情移入しているのか、映画の中でなにか起こるたびに「あっ」とか「きゃ」とか言ったりしている。映画のスタッフも、ここまで感情移入して観てくれる客がいるなら本望だろう。


 そして、ついに終盤。


 二人は何度かのすれ違いを繰り返し、ついに再会の時を迎えた。とは言え、ここに至るまでのイベントはどれも似たり寄ったり。あまり盛り上がりも感じられないまま、クライマックスまできてしまった。


 もはやラストを待たずして、この映画に対する僕の評価は凡作と決まっていた。


 だが、篠宮は違うようだった。

 瞳は感動でうるうると滲み、手でスカートの端をぎゅっと握り締めている。


『カツキ君。ここで彼女の手を握って』


(えっ!?)


 ちょっと待て。

 いや、確かに本物の恋人同士ならそういうこともするかもしれない。

 でも僕たちは――


『えっ、じゃないわ。これもコンピューターの指示よ』


 ――そうか。

 僕にとっては演技でも、彼女にとってこの付き合いは真実。


『今、彼女は恋愛が成就しようとしている映画の登場人物と、自分を重ね合わせているの。ここで自分も好きな人と近づけたら、言葉にならないほど嬉しい、と。こういう心理な訳。わかるわね?』


 その理屈はわかる。

 と、なると、『恋人』である僕のとるべき行動はひとつだ。


 もう一度、篠宮を見る。


 ――うるんだ瞳。華奢な手首。

 どきん、と、心臓が脈打った。


 まただ。

 僕は、いったいどうしてしまったのだろう?


『どうしたのカツキ君? 今まで数々の作戦ミッションをこなしてきた君ならできるはず。さぁ!』


 そうだ。これは演技ミッションだ。

 僕は震える手を、彼女の手へ伸ばし――


「……!!」


 篠宮が僕のほうを見た――ような気がした。


 僕は、篠宮から顔を背けていたのだ。今、彼女の顔を見たら、絶対に平静ではいられなくなる――そんな確信めいたものがあった。


 しばらく二人、そのままで……。


 篠宮が、僕の手を両手で握り返してきた。


 心臓が早鐘のように鼓動を刻む。

 前にも一度、そう、篠宮に告白されたときも、こんな風に心臓が破裂しそうだった。

 だけど、あのときと今では、なにかが違う。



 そして……。

 気がつくと映画は終わっていた。結局ラストがどうなったのかは、よく覚えていない。



 映画も終わり、僕たちは近くのファーストフードで食事をしながら映画の感想を語り合っていた。


「映画、よかったねー。わたし、すっごく感動しちゃったよ」

「僕も。離れ離れだった恋人たちが再会するシーンとか、ちょっとホロっときたよ」

「あっ。わたしも。いいシーンだよねぇ。あれ」


 ――嘘もいいところだ。

 指示とは言え、心にもない感想を述べるのはやはり辛い。現にその再会シーンだって、あったのは感慨よりも冷静な批評だった。


 だが、ふと考える。

 指示を抜きにしても、あの真剣な眼差しでスクリーンを見つめていた彼女に向かって、その感動をぶち壊すような冷徹な感想を僕は言えたのだろうか?


 おそらく……僕は言えない。


 篠宮は空になったジュースの容器をもてあそびながら、上機嫌で続けた。中の氷がカラカラと音を立てた。


「うん。やっぱりお話はハッピーエンドが一番だよ。だって、幸せな気持ちになれるもの」

「嫌な気持ちになるために映画を見に来る人は、あんまりいないよ」


 これは僕の本心も同意見だ。

 だが篠宮は軽く首を振り、ちょっと困ったような表情になった。

 ――コンピューターの予測が、初めて外れた!?

 それともこれも、計算のうちなのか……?


 大島さんからの指示はない。僕はやきもきする気持ちを抑えながら、篠宮の言葉を待った。


「うーん。ちょっと違うかな。わたしが言いたいのはね、がんばってる人の周りにはちゃんとその人を助けてくれる人がいっぱいいて、最後にはちゃんと報われるからいいなぁ、ってこと。あー。ゴメンね。上手く言葉にできなくて」


 そう言って、彼女はちろっと舌を出して笑った。

 ……なんだろう。よくわからない。

 だが大島さんが、いや、コンピューターが導き出した返答は明確だった。


「人の善意、ってこと?」

「そうそれ! 善意だよ、善意。すごいなぁ山口君。ちゃんとわたしの言いたいこと、わかってくれるんだもん」


 彼女はとても嬉しそうに笑った。

 どうやら全て、コンピューターの計算のうちだったらしい。さすがはもう一人の篠宮理恵だ。


 けど、善意か……。

 僕なりに彼女の言いたかったことを推理すると、こんな感じになる。


 善意を受けた主人公は、それに見合った結果――幸福を手にすることができるから、ハッピーエンドは好きだ、と。


 僕的にはこの推論がどこまで合ってるのか、興味本位で確かめてみたかったが、勝手な発言は許されない。しかし、大島さんからの指示はまだ来ない。


 僕が黙っていると、篠宮のほうから続けてきた。

 空になったジュースの容器を両手で持ち、うつむき加減で喋るその様は、どこか深刻そうだった。


「わたしね。基本的にドジなんだ。料理や裁縫だって、あんまり上手じゃないし。それに勉強もそこそこだし、運動なんか大の苦手。だけど、だけどね――」


 そこで一区切りつけ、顔を上げて続ける。


「――みんな、こんなわたしを責めたりしないんだ。ううん。むしろ笑って許してくれる。人間ができてるっていうのかな? すごく、優しくしてくれるんだ」


 それは――

 君が、運命の子供だから。

 喉元まで出かかった言葉を、必死でこらえる。


「いい人たちだね。みんな」


 代わりに、心にもない言葉を吐く。

 そんな僕の心情など露知らず、篠宮は元気よくうなずいた。


「うん! みんな大好き。でも……」


 ふと、彼女の表情が曇った。


「わたし、ときどき思うんだ。わたしは本当に、この人たちの善意を受け取る資格があるんだろうか、って。わたしからは、みんなになにも返してあげられないのに」


 ――意外だった。

 彼女も、僕と同じ悩みを抱えていたのだ。

 等価交換の原則に反する、過剰な善意。


 なんという皮肉だろう。

 この原則から大きく逸脱したイレギュラーそのものの彼女もまた、いや、彼女だからこそ、周囲の人間から問答無用で押し付けられる善意という『反則』に悩んでいたのだ。


 僕は、比呂一人の善意にすら、耳をふさぎ知らないふりをした。

 だが、篠宮はどうだ。

 返しきれない善意を悪いと思いこそすれ、みんなのことを大好きと言い切る。


「でもね。こんなわたしでも、みんなの期待に応えることが、一度だけできたんだ」


 そう。

 今も僕に向けている、この笑顔で――


「山口君に告白するとき、わたし、とっても怖かった……。でも、みんながわたしの背中を押してくれたの。だから……だからね、山口君がわたしの気持ちに応えてくれたとき、初めてみんなにお返しできた気がするんだ」


 ああ、そうか。

 彼女は――無垢なんだ。

 善意というものを裏表や打算のない、本当に心からのものと信じきっているんだ。


「そっか……。そんなことがあったんだ。よかったね。本当に」


 僕はいつしか微笑んでいた。

 大島さんからの指示とかは関係なく、本当に自然に。


「へぇ……」

「な、なに? どうしたの?」

「ううん。別に。ただ、山口君って、そういう顔で笑うこともできるんだなぁ、って思って」

「そう? 僕はいつもとなにも変わらないけどなぁ……」

「そうなの? じゃ、今度からずっとそうやって笑ってよ。なんて言うか――すごく暖かかったよ、今の笑顔」


 そう言って、篠宮もにっこりと笑った。

 僕はなぜだかその笑顔を直視できず、目をそらして空になったジュースを吸い続けてごまかすしかなかった。



 こうして、僕らの初デートは終わった。



「やあ勝紀君。お疲れ様。今日はいつにも増して名演技だったよ」

「ホークさん。そのことでお話が」


 デートが終わった後、僕はホークに連絡を取り、この移動指示車にやってきた。


「さん、は不要だ。まぁかけたまえ」


 そう言って、ホークは手近な椅子に腰掛け、僕にも勧めた。


「で、どうしたんだい? 今日の様子を見る限り、なにか不都合があったとは思えないが……?」

「ええ。実は、今日は一日変だったんです。そう。思えば――朝、篠宮に会ったときから」

「ほう? 変、とは?」


 ホークは腕を組み、眉根を寄せて聞いてきた。

 僕は一度息を吸い込むと、なるべく落ち着いて話した。


「例えば、いつもはなんてことないのに、今日は篠宮の眼を見て話せなかったり……そう、照れるつもりもないのに照れてしまったり。篠宮の手を握るときだってそうでした。心臓がばくばくして……」

「そうか。だが、それがそんな大事とは俺には思えないがな? むしろ好都合なんじゃないか? 二人が良好な関係を築いていく上では」

「それは! 普通の恋人同士ならそうでしょうけど、僕は――志摩先輩のことが好きなはずなのに」


 そうだ。

 僕が好きなのは志摩先輩であって、篠宮ではないはずだ。なのに、今日の僕の反応は、まるで篠宮が好きだと言わんばかりだ。


 ――おかしい。なにかがおかしい。

 ホークはぎしっと椅子をきしませながら答えた。


「……考えられる可能性はおよそ二つ」

「はい」

「一つ目は、勝紀君が本当に理恵を好きになってしまった可能性」

「そんな! 昨日まではなんとも思ってなかったのに、今日になっていきなりだなんて……!」

「人を好きになるのに理由はないとも言うがな。まぁそれで、だ。二つ目の可能性。――役と自己の同一化現象だ」


 同一化……?

 僕が不思議そうな顔をしていると、ホークが詳しい説明をしてくれた。


「俳優が役を演じているうちに、役が自分の一部になってしまう現象のことだな。重症の場合、どちらが本当の自分だかわからなくなることもあるという。よくドラマや映画で恋人の役を演じた俳優同士が結婚したとかいう話を聞くが、もしかしたこの現象が一役買ってるのかも知れないな」


「その現象が、僕にも……?」


「断言はできないがな。あくまで可能性だ。だが、毎日毎日『篠宮理恵が好きな山口勝紀』を演じているうち、いつしか本当の自分も理恵のことが好きになっていても、そう不自然ではないかもな。特に君の場合、過度の心的負荷ストレスがかかった状態で演じていた訳だ。役と自己が同一、もしくは混同されてしまう可能性は十分にある」


「……確かに。そうかもしれないですね」


 あり得ない、とは言い切れない。

 演技という嘘を続けるうち、嘘が本当になってしまう。

 『本当』に篠宮を好きになってしまったのではなく、『嘘が本当』になってしまった可能性のほうが高い。


 だとしても――


「――でも、今日になって突然、というのは、やっぱり変ですよ」


「ふむ……。まぁ俺が言ったことは全て仮説だ。可能性の話。それに、人が人を好きななるプロセスはある程度説明できても、人が人を好きになる動機は千差万別、十人十色。なにがきっかけで恋に落ちるか、わかったものじゃない。勝紀君の変化が今日限りの一過性のものか、長期に渡る慢性的なものか――はっきり見極めてからでも原因究明は遅くないと思うぞ?」


「はぁ……確かに、それはそうかもしれませんけど」


 僕はなにか釈然としないものを感じた。

 例え一過性のものだとしても――

 僕は僕自身の変化が、少しだけ許せなかった。


「ま、あまり深く考えすぎないことだ。でないと思考の悪循環に陥り、余計に心的負荷ストレスを貯めてしまうからな。今日はもう熱い風呂にでも入って、ゆっくり寝たほうがいい」



 ホークはそう言って、僕を家に帰した。

 その帰路、僕は夜桜を見た。月明かりと星空の下、気の早いつぼみは既にその花を咲かせていた。


(ああ、きれいだな)


 僕はいつものように肩にぶら下がっているカメラに手を伸ばし――初めて、あることに気付いた。


 ――カメラを、持っていない。


 映画館でデートだったのだから当たり前といえば当たり前だが、よく考えれば、カメラを持ち歩かずに外出したなど何ヶ月ぶりだろう……? そして、今の今までそのことを意識していなかった。

 それはつまり――


(僕の頭は、今日のデートでいっぱいだった……!?)


 違う。

 例え頭がいっぱいだったとしても、それは『運命の子供』とデートするという緊張からだ。決して、今日のデートを楽しみにしていたわけでは――ない。


 そう。きっとそうだ。

 今更ながらにカメラをぶら下げていない違和感を訴え始めた肩に手をやりながら、僕はそう自分自身を納得させた。


 春を待ちきれずに咲いた小ぶりな桜の花が、夜の風に揺れた。

 ――新しい季節は、もうそこまで来ていた。

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