第5話 時間よとまれ
長年の研究の末、男は悪魔を呼び出すことに成功した。そして魂と引き換えに3つの願いをかなえてもらうという、あの契約を交わしたのである。
「まず1つ目の願いだ。僕がいいと言うまで時間を止めてくれ」
男は念入りに用意していた望みを口にする。
それは何をしても失敗ばかりだった男の人生を、一発逆転させる手っ取り早い方法だった。
時間さえ止まってしまえば、銀行から現金を、宝石店から金やダイヤをありったけかきあつめて、億万長者も夢じゃない。
今まで散々バカにしてきた男たちもボコボコに殴れるし、女たちの顔にはひどいイタズラ描きだってできる。もちろん、他にも口では言えないような、あんな事やこんな事だって、思う存分するつもりでいる。
「1つ目の願いはそれでいいかい?」
悪魔の問いかけに、男はだらしなく顔をゆるませながら大きくうなずいた。
そして世界は、永遠にその時間を止めることになる。
だらしなく顔をゆるませた男とともに。
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