第140話 狙っているヤツ


「おい! 例の先輩のこと、狙ってるヤツがいるらしいぞ!」

 情報通の友人が、あわてた様子で俺のところにやってきた。


「マジか」

 先輩というのは、俺がひそかに想いをよせる女子のこと。優しい性格で友だちも多いひとから、恋のライバルがいてもおかしくはない。


「のんびり片想いなんてしてないで、さっさと先輩に想いを伝えてこい!」

 バシッと背中を叩かれて、俺はやる気になった。


 とまあ、これがキッカケで俺は勇気をふりしぼって告白し、なんと先輩とつきあうことになったのである。

 あのまま片想いで終わらせなくてよかった。ライバルの存在を教えてくれた友人には、本当に感謝している。


「ところで、先輩を狙ってたヤツって誰だったんだ?」

 後日、俺がそう尋ねると、

「ああ、こいつだよ」

 友人はニヤリと笑い、俺を指さした。


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