第99話 学校の怪談


「……この学校、出るらしいぜ」

「出るって、まさか幽霊?」

「深夜、旧校舎の音楽室からピアノの音が聞こえてくるって話だ」


「なんか、よくある学校の怪談って感じだね」

「なんだよ、怖くないのか?」

「そういうの得意だから、全然怖くないよ。他にもっと怖い話はないの?」


「じゃあ、誰なんだと思う?」

「誰って?」

「不思議に思わないか? そんな夜遅い時間まで、いったい誰が学校に残っていたんだ? そのピアノの音を聞いたヤツって、いったいどこの誰なんだ?」

「確かに、それは怖いな」


 そうつぶやいた瞬間、どこか遠くでピアノの音がした。

 ぞわりと背筋に寒気が走る。

 気づくと僕は誰もいない夜の教室で、ひとりぽつんと立っていた。


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