第88話 初めて歩く道
初めて歩く道は発見がいっぱいだ。
塀の上であくびをする三毛猫。錆びたバス停、ツタに埋もれた怪しい廃屋。珍しい名前の表札に、由緒ありそうな古いお寺。歩いているだけでワクワクしてくる。見たことのない風景の中には、面白いものがいっぱい隠れているのだ。
同じ空がふたつとないように、偶然たどりついたこの風景だって、もう二度と見られないかもしれない。そんな風に思うと、この場を立ち去るのも惜しくなってくる。
目に映るものすべてが貴重なものに思えてきて、私は持ち歩いているカメラで何枚でも写真を撮ってしまう。そのうち、落ち込んでいた気分もどこかへ消えてしまって、私は目的も忘れて一期一会の風景に心を躍らせてしまう。
道に迷ってることなんて、すっかり忘れてしまうくらいに。
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