「よし、誰もいないな。今がチャンスだ！」

「……ねえ、本当にやるの？」

　慎重にあたりをみまわす少年に、もうひとりの少年が不安そうに言った。

「やると言ったらやる。俺たち、来週には中学生になるんだぞ。これが最後のチャンスだ。やるなら今しかねえだろ！」

「でも……」

「なんだよ、やらないのかよ」

「こんなことしたら、絶対ママに怒られるよ」

「だったら、臆病者はあっちで見てな！　俺だけでもやるぜ」

「僕は臆病者なんかじゃない！」

「じゃあ、やろうぜ。１回だけだ」

　ふたりは無言でにらみあう。

「わかった。やるよ」

　少年が覚悟を決めた表情で答えた。

「よし。じゃあ、いくぞ。せぇーの……」

　ふたりは雨上がりの空へとびあがる。

　水たまりへバッシャーン！

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