第80話 素直じゃない
「お婆ちゃんが、見たい動画があるから教えて欲しいんだって」
「えー、またかよ。ったく、何度も何度もめんどくせえなあ……」
弟は吐き捨てるようにそう言った。
しばらくして、弟は自分のスマホを持って部屋から出てくる。私に気づかれたくないのか、足音を忍ばせて祖母の部屋へ入った。
少し待ってから、祖母の部屋の前で聞き耳をたてた。中からはふたりの楽しそうな声が聞こえてくる。どうやら猫の動画で仲良く盛りあがっているようだ。
私は知っている。お婆ちゃんは動画を見るくらい、本当はひとりでもできる。弟に構ってほしくて、できないフリをしているだけなのだ。そして弟も、面倒くさがっているが本当は祖母に頼られて嬉しいに違いない。
まったく、素直じゃないんだから。
次の日、私は編みかけの毛糸を抱えて、こっそり祖母の部屋を訪ねた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます