第113話 名探偵は敵わない


 私は探偵。

 これまでに数々の難事件を解決してきた、いわば名探偵である。


 だがそんな私にも、敵対する強大な勢力がある。世界中にネットワークを持ち、圧倒的な力を持つ巨大な組織だ。


 残念ながら、名探偵といえども彼らにはかなわない。その力の前では、私の推理力や洞察力はまったく発揮できない。だから彼らがあらわれたら、たとえ推理の途中であっても、すぐにその場から撤退することにしている。


 もちろん調査は続行する。だが、それが彼らに知られたら危険だ。捕らえられ尋問を受け、もしかしたら自由を奪われる可能性もある。


 彼らがもう少し愚鈍であってくれたら、私も活躍できるのだが。まさか、そんなことを言うわけにもいかないだろう。これでも私は平和を愛する市民なのだ。


 まったく名探偵にとって、優秀な警察組織ほど邪魔な存在はない。 


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