第102話 詐欺犯への怒り


「あんたに電話してよかったわ! やっぱり振り込め詐欺だったのね!」

 電話の向こうで、母が怒っている。

 その声の大きさに、俺は思わず電話から耳を遠ざけた。


「生活費が足りない、何日もろくに食事をしてない、なんて言ってめそめそ泣くもんだから、うっかり信じるところだったわよ!」

 母の怒りはなかなか収まらない。もちろん俺も強い怒りを覚えていた。だいたい俺はそんなことでめそめそ泣くような男じゃない。


「考えてみたら、毎月あれだけお金を送っているんだから、うまくやりくりしてるはずよね。もっとあんたを信じるべきだったわ」

 ようやく落ち着いてきた母だったが、俺の怒りはおさまらない。

 おのれ、詐欺犯め。母を騙そうとしたことも許せないが、そのタイミングの悪さがいちばん許せない。

 ちょうど仕送りの増額を頼もうと思っていたところだったんだぞ!


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