第101話~第150話
第101話 成功を祈る
ある日、五つ年上の兄がお城に行くことになった。
王様からの呼びだしだという。
「ついにこの時がきた」
兄はそう言うと身支度を整え、興奮で顔を赤くさせながら家を出て行く。僕は母の隣でその背中を見送りながら、兄の無事を何度も天に祈った。
これから毎朝必ず、兄のためのお祈りをします。僕のお小遣いだって、全部あげてしまってかまいません。だから、どうか兄が無事に使命を果たして帰ってきますように、と。
兄は一族のなかで誰よりも賢くて勇敢で、剣の腕前だって一番だ。強い魔物が相手だって、きっと負けたりなんてしないはず。
だけど、もしものことを考えてしまって、怖くて眠れなくなる夜もある。
だって、もしも兄が負けるようなことがあれば、次は僕の番なのだから。
今度は僕が勇者の血を継ぐ者として、魔王討伐の旅に出なければならないのだから。
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