第55話 忘れられない旅
もう一度、朝からやり直したい。
せっかくの彼女との一泊旅行。
それなのに、前の夜から眠れなかったせいで朝寝坊。寝癖頭のままで家を飛び出した僕は、待ち合わせ場所には30分も遅刻。
乗った電車は、信号故障で1時間も遅れ、僕が立てていた観光計画は崩壊。焦って降りる駅は間違え、お昼を予定していた店はまさかの臨時休業。空腹をかかえて温泉街を右往左往。
夕方からは雷雨に見舞われ、観光は明日に延期。雨に濡れて宿へと駆け込むも、落雷のせいで露天風呂はお預け。1日が終わる頃には、もう心身ともに疲れきっていた。
プロポーズへのキッカケにと計画したこの旅だったが、頑張った結果、笑えるほど裏目に出てしまった。もう、この旅のことは忘れたいし、彼女にも忘れてほしい。
そんな思いで落ち込む僕に、彼女は言った。
「これだけ大変な思いをしたんだもん。きっと一生、この話で笑えるね」
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