第26話 桜が咲いたよ


「桜が咲いたよ」

「ほんと? じゃあ、見に行こう!」

「今からか?」

「そっか。もう、夜だもんね」

「いいよ。行こう」

「じゃあ、着替えてくる。先に行ってて」


「おー、満開だな」

「あ、こっちの桜は、まだ五分咲きくらいだよ」

「七分咲きがベストじゃね? 少し散ってるくらいが好きだな」

「同感! 気があうねー」

「つきあってみる?」

「えー、どーしよーかなー? あ、タコ焼き屋さん! 買って!」

「ぶはっ。無理を言うな!」

「いいもん。自分で買うから」


「今度、買ってやるからな」

「約束だよ。わっ、おっきいタコ焼き!」

「昼飯、食えなくなるぞ」

「面白い話で笑わせてくれたら、お腹もすくと思うよ」

「俺の睡眠時間を奪う気か!」

「あら、夜明け前に電話してきたの誰?」

「あれは、計算ミス」

「だから、時計は2つ必要だって言ったのに」


「来年は、一緒に桜を見ような」

「約束だよ」

「ああ。おやすみ」

「うん、おやすみ」


 電波にのって、2人の想いは海を越える。

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