第38話 いつもの赤信号


 ようやく校門までたどりつき、ため息をひとつ。

 今朝も、駅から学校まで5カ所連続で赤信号だった。


 1回につき2分の待ち時間として、毎朝10分が無駄になっている。

 少しでも寝ていたい私としては、やるせない気分だ。


 しかし、5回連続というだけでも驚きなのに、これがほぼ毎朝起こるのだ。

 もはや、確率を無視しているとしか言いようがない。

 

 そして今朝も、駅前の横断歩道は赤信号。

 青に変わって、足早に歩きだす他の生徒たちの背中を追い、私も歩き出す。

 だが、どうせ次も赤信号で待たされるのだと思うと、急ぐ気にはなれない。


 日頃の行いが悪いせいだろうか。

 いっそ、占い師にでもみてもらった方がいいだろうか。


 そんなことを考えながら歩き、ふと顔をあげる。

 次の信号が、目の前でタイミングよく赤信号になった。

 

 せっかく遅刻しないように、決まった時間の電車に乗っているのにな。

 信号が青になって、私はいつものペースで歩き出しながらそう思った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る