第37話 乾杯


平行世界パラレルワールドって信じる?」

 窓の外、夜景を見ながら女は男にそう言った。


「信じたいな。別の世界に、別れを選ばなかった僕らがいるって」

 ラストオーダーが過ぎた店内は、最後の1杯をしむ人々の喧騒けんそうに包まれている。


「別の世界の私たちの幸せに、乾杯」

 一口残したワインが揺れ、グラスが澄んだ音をたてる。



平行世界パラレルワールドって信じる?」

 窓の外、夜景を見ながら女は男にそう言った。


「信じるとも。別の世界にも、同じように結ばれた僕らがいるって」

 ラストオーダーが過ぎた店内は、最後の1杯を楽しむ人々の喧騒に包まれている。


「別の世界の私たちの幸せにも、乾杯」

 ひとくち残したワインが揺れ、グラスが澄んだ音をたてる。



平行世界パラレルワールドって信じる?」

 窓の外、夜景を見ながら女はひとり、つぶやいた。

 ラストオーダーが過ぎた店内は、優しい静寂に包まれている。


「すべての世界の私たちに、乾杯」

 女はグラスを夜空に掲げる。

 いつも、男が見守ってくれていると信じて。



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