第44話 批評家


「よく見ててください。今、あなたに確認してもらったこのスプーン。これを、これから曲げてしまいます」

 男が指で軽くスプーンの先端を押すと、あり得ない角度で折れ曲がった。


「すごい超能力ですね!」

 興奮する司会者、どよめく会場。


「ええ。これが、超能力なのです!」

 男は、次々とスプーンを曲げていく。


「まさか、そんなの単なる手品でしょう」

 それを見て、批評家は笑った。



「よく見ててくださいね。今、あなたに確認してもらったこのスプーン。これを、これから曲げてしまいます」

 男が指で軽くスプーンの先端を押すと、あり得ない角度で折れ曲がった。


「すごい超能力ですね!」

 興奮する司会者、どよめく会場。


「いいえ。これは手品です。超能力なんてありえない!」

 男は、笑って首をふった。


「まさか、あれこそは本当の超能力なのでは……」

 批評家はつぶやいた。

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