第18話 アリとキリギリス


 あるところに、アリとキリギリスがおりました。

 アリは真面目で働き者。自分たちが冬を越せるように一生懸命。

 キリギリスはいつもいいかげんで、遊んでばかり。

 性格はまるで正反対の2人でしたが、なぜかとても仲良しでした。


「アリさん。どうしてそんなに働いているんだい?」

「今のうちから蓄えておかないと、冬が越せないからさ」

「それにしても働きすぎだよ。今日くらい一緒に遊ぼうよ」

「ダメダメ。キミだって何の蓄えもしてないんだろう? それじゃ冬は越せないよ」

「いいよ、面倒だし。じゃあ、またね」


 そして、冬がやってきました。

 蓄えがなくて困っているだろうと思い、アリはこっそり食料を持って巣穴を出ました。しかし、森の外れで、すでにキリギリスは死んでいました。


 アリは、その姿を見てとても驚きました。

 死に顔が、とても楽しそうに笑っていたからです。


 アリは、ふと思いました。

 僕は、どんな顔で死ぬんだろう、と。

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