第17話 運がいい男
「俺くらい運のいい男は他にいないね」
友人はいつも、そう
またいつもの自慢話かと、僕はうんざりした。
不良にからまれた所に、警官が偶然通りかかって難を逃れたとか。
旅先で盲腸になったが、たまたま同じ旅館に医者が泊まっていて助かったとか。
川遊びをしていたら流されたけど、近くで水泳部の人がキャンプをしていて運よく助けられたとか。
そんな彼の「運のよかった話」には
「ま、おまえとは違って、俺には幸運の女神がついてるんだよ」
そして、最後は決まってこのセリフである。
その話が本当であれば、きっと彼には女神がついているのだろう。
それに比べて、僕の人生はいたって平凡だ。彼が語るような「運のよかった話」なんて、1つも思いつかない。
しかし。
本当に幸運なのは僕の方だ。
なにしろ、僕はこれまで1度も、不良にからまれたことも、盲腸になったことも、川で流されたこともないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます