第13話 無人島からの生還


「君、大丈夫かい?」

 目を覚ますとそこは浜辺で、見知らぬ男が手を差し伸べていた。

 女は、自分が助かったことを知った。


 絶海の無人島。

 男は、ひどく言いにくそうにそう告げた。

 絶望する女に、男は自分が植物学者であり、島には綺麗な水の湧く泉とヤシの木、そしてタロイモが自生し、生きのびる環境がそろっていると勇気づけた。


 女はすぐに現実を受け入れた。

 世話を焼き、励まし続けてくれる男の姿に、必ず生きて帰ろうと決意した。そして、島中の浜辺にHELPと石を並べ、草を焼いてのろしをあげた。


 そして2日後。

 2人は付近を捜索していたヘリに無事、救助された。


「ありがとう。君のおかげだ」

「私こそ。あなたのおかげですわ」

 空港で、女は男と堅い握手を交わした。

 奇跡の生還劇に、取材陣のフラッシュが光る。


 生還への希望を捨てずにいられたのは彼のおかげだった。

 2人っきりで暮らす相手として、彼はまったく好みじゃなかったのだ。


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