第4話 太陽のカイル、月の僕


クラフティ・クララベルの カイルは

ぼくと同じクラスに転校してきた


彼はひとなつこい性格で

あっという間にクラスに解け込み

ずっと前からこの場所にいる ぼくなんかより

もっと前からここにいるみたいだった


彼はスポーツが得意な 太陽のように目立つ存在で

みんなに囲まれて、よく笑っていた


そして時々

ぼくに向かって 鋭い視線を投げているように、見えた



いつの時代も ぼくには特別なともだちはいなかった

クラスの誰とでも話すけど 誰にも気を許してはいない


昔からそうだった気もするし

両親がいなくなってから 取り扱い注意になったぼくに

周囲が気を使い過ぎた結果なのかもしれない


きっとぼくは、同じ年の連中を どこか心の奥で

蔑んでいるような嫌な部分があるんだ

ぼくは、君たちとは ちがう

何がちがうかもわからないままに

そんな風に、自分と他者に線を引いていた


ぼくは走るのは速かったけど

団体競技、特に球技が苦手だった

一度 バスケットの試合で 誰にパスしていいかわからないまま

一人でドリブルシュートまで決めてしまった時

周りは喜んでいたけど チームメートはしらっとしていた


それ以来、キーパーのいる競技ならキーパー

いない場合は、ディフェンス守り側にいるようにした


カイルはサッカーやハンドボールで、絶妙なパスを出す

見ていて気持ちがいいほどに、相手を生かす

ぼくには到底できないこと



なぜ 気になるのだろう

あまりにタイプがちがう 似ても似つかない ぼくらの距離


なぜ 視界に入ってくるのだろう

あの透き通る瞳の色が ぼくに何かを伝えてくる


彼が 太陽ならば、ぼくは 月

しかも 青白く、冷たい 欠けた月


手鏡のようなまるい月を床に落したら

パリンと音を立てて割れた

残ったのは、ただの尖った欠片






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