第24話 林檎の救出パーティ #1


ぼくは 何度も家と書房を往復して

傷んでしまう前に 救出すべき林檎たちを運んでいた

時々転がしそうになった林檎は コリスが救出した


さて、玻璃の音*書房では、山のような林檎をどうするか

柚子さんが紙に書きながら 考え込んでいた

そして、お隣の砂糖さんの店に 救援をお願いに出かけた



お隣の「砂糖屋」は、お菓子屋であり、砂糖も売っている店だ

砂糖って たくさんの種類があるんだね


  上白糖、 三温糖、 白双糖、 グラニュウ糖

  氷砂糖、 角砂糖、 黒砂糖、 それに和三盆


砂糖さんは、純和風、ひっつめ髪のきつい顔立ちの女の人だ

娘の ふわふわメレンゲのような粉雪さんとは 正反対

女手一つで育ててきたから 仕方がないかな


砂糖さんのお菓子は 彼女そっくりで


 ちょっとやそっとでは歯が立たない 羊羹とか

 すみをさわると手が切れそうな カステラとか

 かちかちで 林檎くらい大きい 金平糖とか


おいしいけど、ちょっと困ったお菓子が並んでいる



林檎の皮むきを コリスと競争した

競ったのは速さではなく、一本をどこまでつなげられるかの長さ

徐々に重くなって、今にも切れそうな赤い切れ端


ナイフで剥いてみる時、ぼくは本当はもっとワイルドに

丸い形など無視して、削るように切り裂いて

ナイフから直接口にしてみたいという衝動にかられた

実際にやったら、男らしいのか血だらけなのか わからないけど


いつだって やってみはしないのだ

こうしてぼくという男は、どこかいつも空想の中だ

赤いままの林檎を齧ってもよかったのに



お店を閉めてから 砂糖さんがやってきて

林檎のお菓子をたくさん作り始めた

もちろん砂糖さんの娘、粉雪さんも一緒にやってきた


ぼくはコリスと 久しぶりに火の入った薪ストーブのそばで

そんな光景を見ていた


柚子さんと粉雪さんが一緒に笑っている姿は

まぶしすぎて、ぼくはまともに見ていることができなかった




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