第5章 真冬の林檎たち
第23話 林檎の小包
ぼくにまた小包が届いた
小包とはよべない、茶色い紙に包まれた大包
中には これでもかと林檎が詰まっていた
紅い小さな艶のある林檎たちが 整然とお行儀よく並べられた箱
何段かの層になっているみたいだ
開けた瞬間の 林檎の強い香りのあとに
その箱からは、格調高い城を思わせる匂いが漂ってきた
冬だけひっそり建っている 氷の世界の城からの贈り物
今の時期に来るということは
秋に収穫された 貯蔵林檎だよね
なぜ 今 やってきたのだろう
どこから どうやって運ばれてきたのだろう
そして 誰が贈り主なのか
*
中に一つだけ
他とは違う存在感を持った 真っ赤な林檎がぽつんといた
もちあげてみると 固い、冷たい、重い
ずっと手のひらの上で眺めていたら
コトリと音を立て、二つに割れた
そこには 小さな紙切れと 小さい木のスプーン
今度こそ手紙だ
しかしそこには「シャーベット」と書かれているだけ
ぼくは 一口すくってみる
あまずっぱい林檎の甘みが 胸いっぱいに広がった
これがぼくへのメッセージ?
ぼくは 山ほどの林檎を抱え、玻璃の音*書房に向かった
アラマキジャケもそうだったけど
今回も贈り物たちは 最終的に玻璃の音*書房に届く
そう仕向けられている気がする
*今日の1冊「 ひゃっこちゃん 」まえをけいこ著
なんでも100こがすきな ひゃっこちゃん
アイスクリームもミルクもパンも風船も、みんな
思わず頁にあるものを数えてみたくなる
フウチに届いた林檎は 何個だったのかしら
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