第19話 ほろ苦いチョコレートパフェ
夜 一人で想う
この想いを全て 夜空に放すことができたなら
ちょっとつき合ってほしい ひとりごとだから
*
柚子さんは まっすぐに揃えた黒髪と
少し琥珀がかった瞳が 印象的な人
その知的な大人っぽい雰囲気で
そこだけ風向きを変えて さらさらと存在している
同時に くすっと肩を
今日も両足にちがう靴を履いているのに 気付かなかったね
言葉をてのひらに
気に入った言葉に出逢うと 何度も甘い声で口ずさむ
おかしなかんちがいも多い人で
「キツネにつままれる」をずっと
「きつねに包まれる」なんてすてきって 気に入ってたね
他愛ないことで ふわりと嬉しそうに笑う
その屈託ない笑顔が ぼくの中にストンと落ちてくる
*
小さな発見をするたびに ぼくは
めちゃくちゃに彼女が愛おしく思えてしまって
すきだ が何年も幾層にも重なってしまった
ほろ苦いチョコレートパフェの地層のように
ビターなチョコのかけら 至らないナッツの痛さ
甘いクリームが 時々現れては、口に入れる前に融け
スプーンで掬うと ラズベリーの甘酸っぱさが 時折顔を出すような
いとしいマリンカ
柚子さんは クウヘンさんのお嫁さんで
ぼくとの関係は この先一生変わらないこともわかっていて
どうしたいとか こうしたい なんてことより
勝手にすきを積み重ねているだけなんだ
ぼくは、いつも柚子さんを見ている
見ていない時にも 心はいつも意識している 感じている
ふと目が合うと、にこっと微笑んでくれる
ぼくもいつも 同じ笑顔を返していた はず
最近少しずつ どんな顔をすればいいかわからなくなって
中途半端な情けない顔になっているんだろうな
手が届かない だいすきな人
*
明日の朝になったらきっと このページは破られるだろう
ぼくの胸の中にだけあれば それでいい
*今日の1本 ドラマ 「失恋ショコラティエ」
だいすきな妄想ショコラティエの恋のお話
片思いを どこまでも追いかけていく主人公が せつなく
想いが 叶ったかのように見えた後半は もっと悲しく
ここに登場するショコラは一粒の 宝石のよう
性格のちがう ショラコ・ヴィ・ リクドー共に 三浦直樹氏のショコラ
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