第8話 雪の結晶とマシュマロ


玻璃の音*書房の お隣の砂糖さんの家には

粉雪さん というお嬢さんがいる


なまえの通り色が白くてマシュマロのように

熔けてしまいそうな女の子だ

ぼくと同い年 同じ街の学校に通っている


彼女は、雪の結晶の標本をつくっている

それは澄みわたる美しさで

ぼくを魅了する

時々ぼくは それを見せてもらいにでかける


結晶がある部屋は 零下28度なので

もこもこした防寒服を着て入る

まつげにうっすら霜がつくので長くはいられない


ほの暗い灯りの中で 光る結晶たち

きらきらの それらは 

ぼくたちを どこかへ誘っているかのよう


でも、ふと気付くと

いつも無表情の砂糖さんがそばに来ている

ぼくと粉雪さんを二人にするのが心配らしい


いつか お嬢さんを

さらってしまいやしないかと





*今日の2冊 「Snowflake Designs」 「Snow Crystals」

 雪の結晶はひとつとして同じものがないって

 ほんとなのかな



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